Bluetooth接続に対応し、死角がなくなった新型「Xbox Oneワイヤレスコントローラー」レビュー

Microsoft「Xbox ワイヤレスコントローラー」

 PCでゲームをさらに楽しむために、ゲームコントローラーを新調した。2年ほど前から前にレビューしたロジクールの「F710r」を使っていたのだが、ついにマイクロソフトのXbox One用コントローラの「Xbox ワイヤレス コントローラー」(以下、「Xboxコントローラー」。型番 : 4N6-00003)に買い替えたのだ。マイクロソフト製のコントローラーは、Xbox 360の頃から「定番」と評価が高かったが、Xbox Oneでは改良されて完成度がさらに向上していると評判の製品だ。

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 F710rも悪いコントローラーではないのだが、やっぱり気になる点もあり、安くはないが思い切って更新することにした。以前のレビューにも書いたが、F710rの弱点を挙げれば以下のようなところだ。

  • 左右(L / R)のトリガーが硬い
  • たまに通信が切れて、同じキーが一瞬入りっぱなしになる
  • 電池を入れると(正確には入れなくても)重い

 しばらく使い込んでみるとそれ以外に、「スティック(L3 / R3ボタン)の押し込みに力がいる(硬い)」ということも気になることがあった。昔はあまり使うことのないボタンだったが、近年はダッシュボタンなどに割り当てられることもあり、使う頻度もそんなに低くないのが現状だ。焦っているとスティックがうまく押せないことがあり、微妙なストレスになっていた。これらを改善できると期待して、新たなコントローラーをゲットしたわけだ。

 今回はそういった経緯で入手した、記事執筆時点では最新のXboxコントローラーをレビューしてみたい。

待望のBluetooth対応版の登場により、ついにPCでの無線接続が可能に

 Xbox Oneのコントローラー自体は、当然ながらXbox Oneの発売と同時に登場している。ただ2014年当時に発売されたコントローラー(型番 : S2V-00015)は、「無線コントローラーなのに、PCでは無線で使えない」という大きな問題があった。それは無線の通信方法が独自形式で、それをPCで受信するための「Xboxワイヤレスアダプター」が日本では最近まで発売されていなかったのが大きな理由だ。正確には並行輸入品のアダプタを使うなど方法があるにはあったが、無駄に高く、いわゆる「技適問題」もあると言われていた。
 そういった点で、Xboxコントローラーは作りの良さ自体は評価されていたが、あくまで「有線コントローラーとしては」という前提が付くものであった。

 そんな事情が大きく変わったのは、2016年の末のこと。今回レビュー対象となる、Bluetoothに対応した新型Xboxコントローラーが登場したのだ。これにより、やっと無線コントローラーを無線で使うことができるようになった。もちろんだが、無線接続には(前述のアダプターを使わないなら)PC側にBluetooth機能が必要になる。

 多少前置きが長くなったが、それでは早速本体のレビューに入ろう。
 正式名称「Xbox ワイヤレス コントローラー」は、名前には「One」の文字が入っていないが、「Xbox One」と「Windows 10」向けの無線コントローラーだ。レイアウトは“ド定番”と評判だったXbox 360のコントローラーとほぼ同じで、わかりやすい違いと言えば中心のXboxボタン(通称「しいたけボタン」)と、A/B/X/Yボタンのデザインが変わっただけにも見える。
 PlayStation 4に付属のDUALSHOCK 4は、3に比べスピーカーやタッチパッドが追加されたが、そういったものも特になく、マイナーチェンジにも見えてしまうだろう。

Xboxワイヤレスコントローラー 正面
Xboxコントローラーを正面から見た画像。Xbox 360のコントローラと大きな差はないが、上部にBluetooth接続用のボタンが付いており、ペアリング時はこれを長押しする。他にはXboxボタンがフラットになって光るのも特徴

 実際、使い勝手的にも機能的にも、Bluetoothに対応した以外は、Xbox 360のコントローラーと大きな違いはない。だがゲーマー視点で見ると、「方向キー(十字キー)の操作性が飛躍的に向上している」のは大きな違いだ
 なにせXbox360コントローラーの方向キーは問題だらけで、「押してないところに、勝手に入力される」のが日常茶飯事。ほとんどのゲームではスティック操作がメインだったのが幸いし、致命的な問題になることはそこまで多くなかったが、方向キーを多用するシチュエーションでは、とにかくストレスが溜まる代物だった。今考えても、明らかに設計ミスだ。

 だが今回買ったXboxコントローラーでは、この問題はほぼ完全に解決した。方向キーは十字型で上下左右が完全に独立しているし、さらに中心部は押し込めないようになっていて、誤入力を極力避ける仕様になっている。自分は格闘ゲームをやらないので、複雑なコマンド入力に向いているかどうかまではわからないが、少なくとも普通に使っていて別の方向にキーが入ることはまずない
 Xboxシリーズのコントローラーの最大の弱点である方向キーの問題が、ついに解決したのだ。

 それ以外にも使い勝手は極めて良く、ボタンの反応も押した感覚も非常に良好。F710rで気になっていた、トリガーの重さ、通信の不安定性、本体の重量などを感じることもなくなり、やはり「高いだけはある」と思える作りだ。接続はBluetoothなので、購入前は遅延も気になったが、それも特に感じることはなかった。使っていて「もっと早く買っておけば良かった」と思ったぐらいで、不満らしき不満はほぼない完成度と言える。
 DUALSHOCK 4との違いはもちろんあるが、これはもはや好みの問題となってしまうだろう。

接続方法は3種類だが、基本的にBluetoothでもまったく問題はない

 本コントローラーをPCで使用するときの接続手段は3種類用意されており、前述のBluetoothを使う方法のほか、USBケーブルを使っての有線接続、そしてワイヤレスアダプターを使った独自方式の無線接続がある。自分はBluetoothの接続でまったく不満を感じなかったが、コントローラーに直接接続できるヘッドセットやオプションを使いたいときは、有線接続かワイヤレスアダプターを使う必要が出てくる。ワイヤレスアダプターは今は別売されているし(型番 : 6HN-00008)、コントローラーとセットのタイプもあるので(型番 : 4N7-00008)、状況に応じて購入時に好みのタイプを選べばいい。

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 なお有線接続の場合、使用するのはごく普通のMicro USBのケーブルだが、これが付属しているタイプもある(型番 : 4N6-00003)。中身はただのMicro USBケーブルなので、すでに多くの人は手元にあると思うが、純正品にこだわるとか長め(約2.7m)のケーブルが一緒に欲しい場合は、これを選ぶといいだろう。
 なお、不思議とAmazonだと(ケーブルがついているのに)こっちの方が安い、ということがあるのが面白い。大きな差はないことが多いが、両方チェックしておくとちょっとお得に買えるだろう。

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 「Bluetoothで接続できるのに、わざわざワイヤレスアダプターを使う(買う)必要があるのか?」という点に関しては、「そもそも旧型(初期型)Xbox Oneのコントローラーは、Bluetoothに対応していない(から使う必要がある)」というのがまずあるが、それ以外には前述の「コントローラーに直接ヘッドセットやオプション品を接続したい」というシチュエーションが考えられる。Bluetooth接続時はこれらが動作しないため、直接PCに繋がなくてはいけない。

Xbox ワイヤレス アダプター for Windows は、マイクロソフト製のすべてのアクセサリーで動作します。最大 8 つのコントローラーに加え、ヘッドセット (最大 4 つの Xbox One ボイスチャット ヘッドセットまたは最大 2 つの Xbox One ステレオ ヘッドセット) も接続することができます。Xbox One チャットパッドや Xbox One プレイ & チャージ キットなど、その他のアクセサリーも使用することができます。

Xbox ワイヤレス アダプター for Windows の互換性 | Xbox One

 ちなみに上記の引用した文章に出てくる「チャットパッド」とは、以下のような「コントローラーに直接ドッキングできるキーボード」のこと。日本では記事執筆時には正式に発売されておらず、並行輸入品しか存在しないようだ。

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 とはいえ互換品ならあるようなので、安く済ませたいなら以下のようなもの買うという手もある。まあ商品のクオリティに関しては、レビューを読む限り“価格相応”という感じのようなのだが。

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 まあいずれにしても、単にコントローラーとして使うだけならBluetooth接続で十分なので、基本的にワイヤレスアダプターが必要なのは「旧型コントローラーを持っていて、無線接続にしたい人」ということになるだろう。

品質に関しては折り紙付き。あとは5000円前後の価格を許容できるかどうか

 本機はXbox 360の無線コントローラーと同じく、単三電池2本で動作する。マイクロソフトはアルカリ電池や純正バッテリーとなる「Xbox One プレイ & チャージ キット」を使って欲しいようだが、一般的なニッケル水素充電池を使用できるのも変わらないので、エネループなどを持っていればランニングコストは安く済むだろう。
 ただ、バッテリーカバーが若干華奢な作りで耐久性があまり高くなさそうなのは、ちょっと気になるところである。電池カバーの問題はXbox 360の頃から言われている問題でもあるので、できれば改善していて欲しいのだが、これはしばらく使い込んでみないとわからないところだ。

Xboxワイヤレスコントローラー 背面
コントローラーの背面画像。上部の電池ケースに、横向きに2本単三電池を挿入する。グリップの裏面は細かい凹凸が無数に付いており、滑り止めとなっていて持ちやすい

 コントローラーの電源はPCとの接続の切断、あるいは一定時間に無操作状態になることによって、自動的に切れる。手動の場合はXboxボタン(しいたけボタン)を6秒間押し続けることでも切れるのだが、PCでSteamを使っている場合、これを押すとBig Pictureモードが(必要なくても)起動してしまうので、正直使いにくい。「使い終わったら放置して、勝手に電源が切れるのを待つ」方が良さそうだ。

 前述のとおり、自分の環境ではBluetoothの接続も非常に安定しており、遅延も感じなかったのだが、どうやらこれもPC側のBluetoothデバイスにある程度影響されるようだ。自分は以下のUSBドングルを、Windowsの標準ドライバで使用しているので、もしBluetoothデバイスが原因で安定しないと思われる環境の人は、参考にしてみてほしい。

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 初代Xboxから数えて、大きくモデルチェンジしたのは3回目となるXbox Oneのコントローラは、評判どおり使いやすかった。Xbox 360の時点でもその完成度はかなり高かったが、方向キーの改善やBluetooth対応を経て、このXboxコントローラーはひとつの到達点に達したと思う。そう言ってしまえるほどに、完成度は高い。

 このコントローラーに大きな問題があるとすれば、それは価格のことになってしまうだろう。一番安いオプションが一切ないタイプでも、5000円前後という値段のため、残念ながら「安い」とはとても言えない。DUALSHOCK 4と同じ価格帯ではあるが、あちらはタッチパッドやスピーカーが内蔵されているなど、妙に多機能ではあるため、シンプルな分だけこちらの方が割高感を感じるのは否めない。
 また、Bluetooth接続ではAnniversary Update以降のWindows 10を使用している必要があるため、Windows 7や8.1のユーザーは有線接続に限られてしまうのも、環境によっては問題になるかもしれない。

 とはいえ本品は、現状では「PC用無線コントローラーの決定版」と言ってもいい出来だ。ロジクールのF710rは「弱点はあるがかなり安く入手できるので、結果的にコストパフォーマンスは高い」という印象だったが、こちらは「価格は高いが弱点らしい弱点はない」といっても良く、初期不良品を引かない限りは、快適なゲームプレイが望めるだろう。ゲームコントローラーに5000円を出せる人には、文句なく勧められる一品だ。