音楽ライブラリを「FLAC」に統一するためにWMP12を試したらダメ過ぎたので「Media GO」を使い始めた

「Media GO」アイコン

 このブログでは以前に何度か触れたことがあるのだが、自分は音楽ライブラリをiTunesで管理している。Apple製品ということでWindowsとの相性はあまり良いとは感じないのだが、手軽にAACで音楽を取り込めることと、一時期iPhoneを使っていたのでアカウント管理やデータバックアップの関係でちょうど良かったのいうのがその理由だ。ちなみに、iPhoneの利用を止めた現在でも利用している。

 現在、音楽ファイルは様々な機器で対応しており、かつ音楽配信にも使われるほど十分に音質が良いAACで圧縮されることが多い。実際、自分のライブラリもほぼAACのファイルで構成されているが、実はビットレートは取り込み時期によって、結構差があったりする。「どれぐらいのビットレートでインポートするか」は結構悩みどころで、HDDの容量との兼ね合いもあり、制限が大きかった昔のファイルほど、低ビットレートであることが珍しくない。そればかりか昔のライブラリを延々と引き継いできた結果、MP3のファイルもそこそこあったりする。

 だが先日、ある事情から一念発起して「音楽ライブラリを全部、可逆圧縮のフォーマットに変えたい」と思うようになった。「可逆圧縮」とは、「デコード時にエンコード前のデータが完全に復元され、一切のデータが失われることのない圧縮形式」のことで、今回の音楽の件に限って言えば、「CDに録音された音楽が、ファイル再生時にそのまま再現される形式」と言える。そして、そんな可逆圧縮オーディオといえば、現在はオープンソースの「FLAC」がデファクトスタンダードの立場だ。

 当然、自分もこれでライブラリを再構成するつもりで、最初はWindows 10から標準でFLACに対応したWindows Media Player 12を使ってみた。ところが、実際にやってみるとこれが上手くいかない……というか、大量の音楽ディスクを再取り込みするのとは別の手間がいくつも発生してしまい、とてもやってられなくなってしまった。結果的にはタイトルにもあるように、SONYの「Media Go」を使うことで環境は移行できたのだが、途中色々あって学ぶことが多かったので、その辺りの顛末を書いてみたい。

「Windows Media Player 12は標準でFLACエンコードに対応する!」が……

 前述のとおり、まずは「Windows 10に最初から搭載されており、かつFLACにも対応した」と言われていたWindows Media Player 12を使ってみた。当然最初からインストールされているので何かする必要もなく、ショートカットから起動すれば何ら問題なく立ち上がる。エンコード方式も、「音楽の取り込み」タブから変えればいいだけだ。

WMP12の「音楽の取り込み」タブ
WMP12で選べる、音声のファイル形式。Windows Media系のファイル形式が多いが、動画ならともかく音声ではマイナーな存在なので、使うことはあまりないはず。「FLAC」の他に、後述する「ALAC」に対応しているのは、地味だが意外と驚くところ

 これでFLAC形式のエンコードが可能になるので、とりあえず手持ちのCDを何枚か取り込んでみた。すると確かに問題なく終わる、いや、確かにエンコード自体は終わるのだが、それ以外の問題が発生して、作業が進まない
 具体的には、取り込んだCDのアルバム名や曲名が、まともにファイルに反映されない。というか、CDDBサーバから持ってくるアルバム情報が、ほぼ「腐っている」というレベルで悪い。いくつものディスクで「手打ちでの修正か、そもそも手動で全部入れ直す必要がある」という感じで、まったく取り込み作業が終わらないのだ。
 自分が体験した酷いアルバム情報の例を挙げるなら、以下のような感じ。

  • アルバム名や曲名の英数字がすべて全角。たまに半角のものも混じる
  • 日本のメジャーなアーティストの作品なのに、なぜか中国語のデータしかない
  • 仮に日本語のデータがあっても、なぜか優先的に中国語のデータが取り込まれる
  • 少しでもマイナーなアーティストやタイトルになると、そもそもデータがない
  • 1枚のアルバムの中で、歯抜けのように何曲かのデータ(例えば5曲目と8曲目だけ)が抜けている場合がある
  • タイトル以外のメタデータ(例えばジャンルなど)は、ほぼ壊滅状態

 多くのメディアプレイヤーはファイル名やメタデータを元にライブラリを作成するから、「情報なし」で取り込むというわけにはいかないし、そもそもライブラリを作り直すつもりで大量のディスクを取り込む必要があるのだから、入力し直している暇もない。WMP自体の使い勝手以前に、CDDBのクオリティに一気にやる気がそがれてしまった。

 この問題は端的に、WMPで使われているCDDBの質が悪く、しかも変更もできないことが原因となっている。URLを見ると「fai.music.metaservices.microsoft.com」となっているので、基本的によそとは共用してないマイクロソフト専用のサーバであり、WMPユーザーしか使用できない状態なのだろう。CDDBはユーザーが自らがデータをサーバーに登録するのが一般的なので、利用者が少なければそれだけ、有用なデータが集まりにくい状態になる。特に日本ではiPhoneやiPodのシェアが高いので、なおさら日本のCDの情報が少なくなる傾向にあるのかもしれない。

WMP12の「アルバム情報の検索」画面
あるCDをWMPで利用できるCDDBに問い合わせてみた様子。いちおう曲名は日本語なのだがアルバムタイトルは英語のものしかなく、類似するアルバム情報も上手く検索できていない

iTunesで可逆圧縮オーディオを扱うなら「ALAC」だが、使い勝手はイマイチ

 ソフトの使い勝手がどうのという以前の問題でWMPの使用は諦めたものの、音楽ライブラリの再構築自体はおこないたいので、別のソフト、あるいは方法を探すしかなくなってしまった。いちおう別のソフトから取り込んでWMPに読み込ませる方法もあるのだが、だったら最初からそのソフトで管理すればいいのだから、WMPにこだわる必要はなくなるからだ。

 手段の1つとしては、「iTunesを使い続ける」という手がある。なんせiTunesが使用しているCDDB「gracenote」はクオリティが高く、これで不満を覚えることはほとんどない。ファイル形式自体も「FLAC」には対応していないが、代わりにAppleロスレス、略称「ALAC」に対応している。iTunesもファイルの再取り込みには対応していて、ファイルを残したまま追加するか、上書きするか選べる。実際にやってみたところ、ファイルの末尾に「_1」という文字が加わる以外は置き換え自体には問題はなく、これで少し試してみることに。

 7~8枚のCDを取り込んだところで、この「ALACで再エンコード作戦」も一定の問題があることに気がついた。1つは「CDDBのアルバムデータが更新されているものがあり、同じファイルと認識されず、ファイルが重複してしまうことがある」こと、そしてもう1つは「ALACに対応してないソフトやハードが思ったより多い」ことだ。前者はまあ、手動で消せば何とかなるものの、後者は最初から対応してなければどうしようもない。

 ALACはAppleの製品なら問題なく扱えるが、例えばAndroidのアプリだと対応してないものもあり、DLNAサーバーなども対応していないものが目立つ。手元の機器では、PS4などでも扱うことができない。
 規格自体はオープンになったものの、やはりAppleの独自規格と言うことで、対応しないものが多いのはしょうがないのかもしれない。使い勝手では、やはりFLACやAACに大きく劣るのが現状、といった感じのようだ。

iTunesと同じCDDBを使いたいなら「gracenote」に対応するソフトを探そう

 上でも少し書いたが、iTunesのアルバム情報が的確なのは、使用しているデータベース「gracenote」の情報が優れているからだ。ならば「他のgracenote対応ソフトを探せばいい」ということになるが、実はgracenoteは有料のサービスであり利用料が発生するので、個人作成のフリーソフトで使えるものは基本的にない。つまり企業が作成や配布しているソフトでなければダメ、ということになるのだ。

 gracenoteを使っているソフトはあまり選択肢がないのだが、iTunes以外ならソニー製のソフトなら特にハードを買う必要もなく、無料で制限なく使うことができる。不思議と2種類あって、それぞれ「X-アプリ」「Media GO」という名前が付けられているが、今回テーマにするのはMedia GOの方だ。

 なぜ同じようなソフトが2種類あるのかと言うと、どうやら事業部門の関係で統一できなかった(しなかった)ようだが、今回の記事では重要ではないのでこれ以上は触れない。ただ会社としては、ソニー本体がウォークマン向けに提供しているのがX-アプリ、それ以外のゲーム機やスマートフォン向けのソフトがMedia GOという形で開発されているようだ。

使い勝手が良好な「Media GO」。「音楽をFLACで管理するだけ」なら不満はない

 Madia GOは上でリンクしたページからダウンロード可能で、後は普通にインストールすればいい。インストール後は一般的なメディア管理ソフトと同じように、既存のライブラリ(「Musicフォルダ」や「Videoフォルダ」)がスキャンされ、自動で音楽やビデオファイルが追加されるが、設定でフォルダを変えてしまえば真っさらな状態からライブラリを構築できる。自分も中途半端にライブラリが混ざるのはトラブルの原因だと考えたので、新たに音楽用のフォルダを作成して使用している。

 インターフェース自体は特に奇をてらったところはなく、かなり初心者でも使いやすそうに感じた。左カラムからライブラリを選び、アルバム順やアーティスト順で音楽を並び替えることができる。はっきり言ってしまうとiTunesに近い感じなので、使ったことがあるなら戸惑うところはほとんどないのではなかろうか。

Media GO起動画面
「Media GO」の起動画面。Windowsのソフトとしてはごく一般的なUIで、使うのに苦労することはあまりないだろう

 音楽CDの取り込みはディスクを挿入して「CDのインポート」を押す(設定で自動で取り込むこともできる)だけなので、迷うことはない。選べるエンコード方式は「AAC」「MP3」「FLAC」と種類は少なめで、しかも「VBR」(可変ビットレート)や低容量向けの「HE-AAC」などを選ぶこともできないなど、細かいオプションは存在しないが、可逆圧縮のFLACならその辺りは関係ないので気にする必要もない。

Media GOの「CDインポート」タブ
インポート時に使用可能なファイル形式。「AAC」や「MP3」を選べばビットレートが選べるが、それ以外の細かい設定はない。全体的に、かなり初心者向けという印象だ

 CDを挿入すると自動でCDDBにアクセスが始まり、データベースに一致したディスクがあれば、自動で反映される。英語と日本語など、複数の候補がある場合は取り込む前に画面から選択できるので、非常に使い勝手が良い。また、取り込んだ後にも、ライブラリから再度CDDBにアクセスして別のデータに更新することもできるので、間違って取り込んでしまった場合も安心だ。まさに「かゆいところに手が届く」仕様が嬉しい。

Media GOのCD取り込み画面1 Media GOのCD取り込み画面2
アルバムのインポート時にサーバに複数の項目があると、取り込み前にお知らせが表示されてわかる仕組みになっており、クリック1つで切り替えることができる。もう1枚の画像は英語のファイル名に変えたところ
Media GOの「アルバムとして検索」
1度取り込んだアルバムでも簡単に再度gracenoteにアクセスして、新しい情報に更新したり、別のデータに切り替えることができる。元のCDをわざわざ引っ張り出してくる必要はない

 また、アルバムのアートワークもログイン等の作業は一切必要なく、データベース上にあれば自動で反映されるのでかなり楽だ。iTunesだと手動や、あるいは別のソフト経由で取り込んだりする必要があったりしたので、むしろこの辺りの使い勝手はiTunesよりいいと感じた。とはいえ、全部のディスクのアートワークが入手できるわけではないので、その場合はエクスプローラーやWebブラウザから直接画像を、プロパティの「アートワーク」タブに放り込んでしまおう。自動でアルバム内の音楽ファイルに反映されるはずだ。

Media GOのアートワーク設定画面
アートワークの設定画面。直接マウスでドラッグすることもできるし、HDDの任意のファイルを設定することもできる
Media GOのライブラリ画面
実際に2枚組のCDを取り込んだ画面。これはアルバムごとに表示しているが、「曲」に切り替えれば、ずらっと縦に曲名が並ぶことになる

 というわけで自分の場合、全体量が多いので少しずつ既存のiTunesのライブラリとは別に、新たにMedia GOでライブラリを構築しつつある。ソフト自体が比較的初心者向けに作ってあるような印象で、全体的にあまり細かい設定やカスタマイズはできない感じなのだが、少なくとも自分のように「ファイル形式はFLACだけ使えればいい」「CDDBはgracenoteが使えないと困る」という人には、ぴったりではないかと思う。前述のように無料で使えるので、興味がある人は試してみてほしい。