PS4のHDDをWDのSSHD「WD10J31X」に交換したのでレビュー

WESTERN DIGITAL WD10J31X

PS4のストレージの交換用に、ウェスタンデジタルの「WD10J31X」を購入した。1TBのHDDに8GBのキャッシュ用フラッシュメモリが搭載された、いわゆる「SSHD」と呼ばれるタイプのストレージだ。

PS4はデスクトップPCのようにSSD + HDDのような複数台のドライブを搭載できないので、HDDよりロード時間を短くしたいなら、SSDか今回のようなSSHDを選ぶしかない。
だが、SSDはまだまだ高いし、そもそもPS4の高くないストレージ能力では性能をフルに引き出すことができない。そのため、今回は「容量が多くて、ある程度は速い」と評判のSSHDを選んだ。PS4の換装に使うなら、SeagateのSSHD(「ST1000LM014」など)が定番なのだが、今回はあえて外して、若干マイナーなウェスタンデジタルのものを選んでみた。

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実際に換装して2週間ほど経つので、どのような感じなのか簡単にレビューする。

基本性能とPC搭載時の性能

まずは簡単に基本性能から。より詳しい情報がほしい場合は、公式サイトのデータシートなどをご覧いただきたい。

「WD10J31X」スペック表
型番WD10J31X
サイズ2.5インチ
容量1TB
インターフェースSATA 3.0 (SATA 6Gb/s)
回転速度5400rpm
キャッシュ64MB + 8GB MLC NAND
AFT採用
備考Hybrid HDD

ハイブリッドHDDでキャッシュが8GBある……という以外は、2.5インチHDDとしては一般的な性能だろう。厚みはこれまた一般的な9.5mmなので、PS4を含め多くのノートPCなどでも普通に搭載できるはずだ。

ちなみに、自分のPS4に最初から入っていたのはHGSTの「HTS545050A7E380」という7mmタイプだったので、両者の厚みを比べると結構な違いがあるが、もちろん換装作業に問題はない。具体的な取り付け方法は、以下のページが参考になる。

PS4に搭載して使うため、あまりベンチマークに意味はないが、PC接続時のCrystalDiskMarkとCrystalDiskInfoの結果は以下のとおり。2.5インチHDDとしては、そこそこ速いほうに入るようだ。

「WD10J31X」のCrystalDiskMarkベンチマーク結果
「WD10J31X」のベンチマーク結果。シーケンシャルアクセスは120MB/sを超える
「WD10J31X」のCrystalDiskInfoの結果
CrystalDiskInfoで「WD10J31X」の情報を表示したところ。バラック状態だが温度はSSDより1度高い程度と、比較的低発熱の様子

なお、動作音は元のHDDより若干大きく、静かな部屋で音を最小まで絞ってプレイしていると、「カリカリ」という音が聞こえる場面があった。とはいえ、大きくて気になるというほどではないので、普通にゲームをプレイしている状態なら問題ないだろう。

早速PS4に入れてみてテスト。劇的に速くなるわけでないが、一定の効果は見られる

というわけで本題の、PS4に搭載してみてどれほど効果が出たのかをチェックしていこう。

テストには「Fallout 4」のPS4版を利用し、セーブデータをロードしてタイトル画面からサンクチュアリが表示されるまでを「テスト1」、そしてそのままサンクチュアリからダイアモンドシティへファストトラベルして、同じく街の画面が表示されるまでを「テスト2」とする。計測に使うのは一般的なストップウォッチだ。また、本体システムのロード時間の変化も確認するため、PS4起動時の「ピッ」という音から、アカウントのログイン画面が表示されるまでを「本体起動時間」としてテストしている。

実際の計測結果は以下のとおりとなった。

PS4のHDD(HTS545050A7E380)をSSHD(WD10J31X)に交換した効果
本体起動時間テスト1テスト2
HDDSSHDHDDSSHDHDDSSHD
1回目27.49s24.47s63.62s63.26s29.34s29.12s
2回目27.87s24.37s59.88s54.54s28.10s29.70s
3回目28.30s24.67s60.54s55.60s29.63s29.11s
平均27.89s24.47s61.35s57.80s29.02s29.31s

一言でまとめれば「システム起動や実際のゲームでも速くなる場面は多いが、一気にロード時間が短くなるわけではない」という感じだろうか。起動までは約3秒、テスト1では(2回目以降は)約5秒の短縮が見られるが、テスト2では変化はなく(誤差だと思うが)むしろ若干ロードが長くなっている。実際の効果のほども「ロード時間が1割前後短縮」といったところで、劇的な効果がある……という印象ではない。

とはいえ、SSHDのキャッシュメモリは1回読み込んだところを、丸々キャッシュしておくほどの容量はない。一般的には、ハード側で「よく使うデータを効率よくキャッシュする」と言われている。したがって、より使い込んでいけばさらに速くなるということあり得るだろう。実際にオープンワールドのゲームでは、体感で「ロードが速くなったな」と感じることがあった。同じゲームをプレイし続けると徐々に効果が現れていく、という感じだろうか。

というわけでHDDからSSHDに交換した感想は、「ロード時間短縮に過大な期待は禁物だが、実感できる程度の効果はある」といったところ。「PS4ストレージの大容量化と高速化を同時に達成したい」という人には、SSHDは悪くない選択だろう。実際に自分が交換してみても、特に損をしたという印象はない。PS4のストレージのSSHD化に興味がある人は、参考にしてほしい。