水没したFILCOのキーボードは、運が良ければ無償修理してもらえる

FILCO製キーボード

自分が2014年からメインに使っているキーボードは、FILCOのMajestouch(マジェスタッチ)というメカニカルキーボードだ。型番は「FKBN91MRL/JB2」というモデルで、青軸より静かな赤軸スイッチを採用した、テンキーレスのスタンダードなもの。価格は1万円前後と、1000円以下のキーボードが珍しくない昨今では高い方だと思うが、しっかりした作りと軽快な打ち心地は、人によっては価格以上の価値が見いだせるのではなかろうか。実際、自分自身も満足している。

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ところがある日、そのMajestouchの上にコーヒーをぶちまけてしまうという失態をおかしてしまう。慌てて布巾を使って対処に乗りだし、キートップの大部分を外してキーボードの掃除を始めたが、時すでに遅し。見た目ではほぼすべての水分は拭き取れたものの、キーの内部にまで水分が入り込んでしまったらしく、あるキーだけ「押すと無限に入力され続ける」か「押しても何も起こらない」をランダムに繰り返すようになってしまった。典型的な「水没による故障」といえる。

冒頭で書いたように、購入したのは2014年なのでまだまだ1年保証の期限内。なので無償修理をメーカーに……といきたいところだが、水没は保証の対象外。完全にこちらのミスなのでしょうがないが、有償修理なってしまうとのこと。その価格も公式サイトに記載されており、クリーニング代だけで2000円+消費税、さらに技術料と部品代がかかり、送料も含めると4~5千円といったところが水没修理代の相場となるようだ。

キーボード修理代金は技術料金+返送料金+部品代+クリーニング代(必要な時のみ)の合計金額となります。

~中略~

クリーニング代

キーボード内部に液体(水、コーヒー、ジュース等)の浸水が確認された場合の内部清掃代となります。
液体の影響が確認されたキースイッチは部品交換を行いますので別途部品代が発生します。
また、液体の浸水が確認された場合は保証期間内であっても有償修理となり規定の修理代金が掛かります。

ダイヤテック・製品サポート

ここまで調べて、頭に浮かんだ選択肢は以下の3つとなった。

  1. 諦めて新しいキーボードを買う
  2. 素直に修理に出す
  3. 分解して自分で直す

1.は最終手段なのでとりあえず除外したが、2.と3.はどちらを選ぶか最後まで悩んだ。

2.は確実に直って帰ってくるが、4000円強という「(同じものは無理だが)普通に新品のキーボードが買える」程度のお金がかかる。リスクはないが、コストはそれなりにかかってしまう。
3.はネットにハウツーページもあり、運(と腕)がよければ安価で直せるが、もし直らなければ分解した結果修理にも出せなくなった壊れたキーボードが手元に残るだけ。もちろん、そうなったら新たに買い直すしか手はないわけで、ハイリスクハイリターンな選択肢となる。

考えた結果、2.の「修理に出す」を選択することにした。自分のミスとは言え修理代は結構痛いが、3.失敗時の「壊れたキーボードと修理用に買った部品だけが手元に残り、キーボード買い直しの費用がさらにかかる」というリスクは正直大きすぎる。買い換える前提の“ダメ元”でやるならまだしも、同じキーボードを使い続けるつもりなら、正直なところ選びにくい。

方針さえ決まればあとは実行するだけなので、早速以下のFILCOのサポートページから修理を申し込んだ。電話による問い合わせもできるが、自分は24時間受け付けているメールサポートの方が好きなので、大概はこっちを利用するようにしている。

サポートに問い合わせた翌日、早速返事が来た。内容は予想通りの内容……と言いたいところだが、かなり意外だった部分も多かったので以下にまとめてみたい。

  1. 水没による故障は、保証期限内でも有償修理
  2. ただし、水没扱いになるかは故障範囲によって決まり、狭い範囲で少ないキーのみが被害を受けていた場合は、通常故障扱いになる
  3. 水没に対する修理費(クリーニング代)は2000円+消費税だが、この中に10か所までのスイッチ交換代金が含まれている
  4. 注意点として、仮に修理をおこなっても浸水状態によっては内部の腐食などが勝手に進んで、また壊れる可能性がある

前述のように、自分は「水没=4000円強の修理費」とサポートページを読んで理解していたのだが、どうやらそういった紋切り型の対応ではなく、結構融通が利く体制になっている様子。今回の故障の場合は、水分はほぼすべて自分で拭き取ってあり、さらに目に見える影響が出ているキーは1か所だけなので、「範囲が狭いから通常修理扱い≒無償修理」という可能性が出てきたわけだ。いやはや、これは嬉しい。早速、指定された窓口にキーボードを送ることにした。
ちなみに、製品を送るときに送料がかかるが、これは有償・無償に関係なく修理をするなら必ずかかるとのこと。

発送から約1週間後、修理が完了したキーボードが戻ってきた。もちろん調子はまったく問題なくなっており、同封されていた書類によると、(広範囲の)水没の形跡はなく、問題のキーを取り替えただけで済んだとのこと。請求書なども同封されていなかったので、通常故障扱いで無償修理してもらえたわけだ。4000円程度の出費を覚悟していたところが、送料だけで済んだわけだから、実に嬉しい誤算となった。早まって自分で分解修理を試みなくてよかった……と、今になっても思っている。

というわけで今回の体験をざっくりまとめると、以下のようになる。

  • FILCOのキーボードは水没させると、保証期間内でも“基本的には”有償修理となる
  • が、水没範囲が狭い場合は通常修理扱いになるため、発生時期が保証期間内なら、無償修理になる可能性がある(今回の事例)
  • また保証期間が切れていても、狭い範囲なら通常修理になるため、追加のクリーニング代は請求されない
  • 仮に広範囲が水没していたとしても、追加されるクリーニング代にキーの部品代が10個までは含まれている

結論としては、「水没したからといって、必ずしも高い修理費がかかるわけではない」という感じになるだろうか。前述の“4000~5000円コース”は、最悪の状態だったときに発生するということなのだろう。もちろん現在のような対応がずっと続くとは限らないが、FILCOのキーボードを水没させて、修理に出すか買い換えるか迷っている人は参考にしてみてほしい。