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HDMIスプリッタは、PCとAVアンプの接続時に起きる問題を解決できるか

HDMIロゴ

以前、「PCゲームの音声をAVアンプで5.1ch再生するのは難しい」という記事を書いたことがある。理由は、S/PDIFを使う場合はハード面とソフト面の両方で条件が厳しく、HDMIを使う場合はPCの使い勝手が悪くなることが原因とまとめた。詳しい話は以下の記事に書いてあるので、そちらを参考にして欲しい。

この記事では結論として、「ゲームプレイ時にしか使用しないPCなら、HDMIで接続するのがいいのではないか」と書いた。その後、実際にゲーム用PCをHDMIでアンプに接続した状態で運用してみたので、そこで感じた使い勝手を書いてみたい。

なお、自分が使用しているPCのビデオカードはGeforceなので、この体験談や設定項目、画面のスクリーンショットなどは、Geforce環境に準じたものになっている。AMDやIntel環境ではまた異なっている可能性があるので、注意して欲しい。

PCモニタをAVアンプ経由で繋ぐと、かなり使いづらい

結論から先に書いておくと、上の記事でも書いたように、HDMI出力を使ってメインのモニタをAVアンプ経由で接続するとPCがかなり使いづらくなる。理由はいろいろあるのだが、主なものを列挙すると次のようなものだ(上記の記事では「遅延」も挙げているが、これは自分が使用してるアンプでは大きな問題はなかった)。

  1. アンプ電源のON/OFFで画面がブラックアウトする
  2. モニタが適切に省電力状態にならない
  3. WindowsがAVアンプ(オーディオデバイス)を高頻度で見失う

1.は映像信号がAVアンプを経由しているから当然なのだが、アンプのON/OFF時に画面が数秒間ブラックアウトして(消えて)しまう。「普段はアンプの電源を切っておき、動画や音楽を楽しむときだけスイッチを入れる」というシチュエーションはよくあると思うが、そのたびに画面が一定時間真っ暗な状態になる。もちろんこれは大した問題ではないのだが、アンプの電源操作のたびに起こるので、意外と気になってしまう場面が多かった。

2.もモニタがらみの問題だ。
通常、PCは一定時間操作しないでいると、勝手にモニタの電源が切れる。これはビデオカードなどから映像が出力されなくなるからなのだが、アンプの電源が入っていると、PC側の出力と関係なく映像信号が出続けてしまう。機種によると思うが、自分が使っているONKYOのアンプでは、映像入力が途切れると青色の単色画面(映像)が延々と出力される仕様になっている。

結果、モニタに入力される信号はいつまでも途切れず、画面が消えることもない。事情があって1時間以上席を外して戻ってきたら、青い画面がずっと出続けていた……というのも1度や2度ではなかった。席を外すときモニタの電源を切っておけばいいのだが、忘れることはあるし、省エネという点から見ても良くない。

ただ、アンプの電源が入っていなければ、スタンバイスルーという「入力された信号をそのまま素通しする」モードになるので、この問題は起きなかった。入力信号が止まれば、出力信号もそのまま止まってくれるからだ。そういう意味では、これもまだ許容範囲の問題だと思っている。

HDMI出力から5.1chオーディオを出力するときの一番の問題は、「オーディオデバイスを見失う」こと

1.と2.は「ちょっと不便になる」程度で、実際のところ致命的問題とは言えない。使い勝手の低下もそんなに大きくないので、時間が経てば慣れてはいくだろう。

だが、最後の3.はかなり大きな問題だと感じた。何せオーディオ出力のためにHDMIを使っているのに、その一番重要なオーディオデバイスを見失ってしまうのだから。
とはいえこれだけではよくわからないと思うので、もっと具体的に説明したい。

現行のWindowsは、出力ごとにデバイスを個別に認識する形になっているので、それぞれ個別に音量の調節や、使用するかどうかの設定が可能になっている。例えばWindows 7や8でコントロールパネルなどからサウンドのプロパティを開き、「再生」タブを開けば、次のようなウィンドウが表示されるはずだ。

「サウンド」の「再生」タブに並ぶ音声デバイス
「サウンド」の「再生」タブには、使用中/使用可能なデバイスが表示される

この画像では、Realtek High Definition AudioのS/PDIF出力とアナログ出力(表示上は「スピーカー」)を認識しているため、2個のデバイスが表示されている。ビデオカードを使ってHDMI経由で音声が出力できる環境なら、さらに「NVIDIA High Definition Audio」や「AMD High Definition Audio Device」などが追加されているだろう。もし表示されていないなら、デバイスが使用可能になっていないか、ドライバが正常に入っていないものと思われる。

Windowsでは、前述のようにこの画面からサウンドデバイスの色々な設定が可能なのだが、HDMI出力 → AVアンプ → PCモニタという接続をおこなうと、ここに表示されているHDMIオーディオデバイスが「接続されていません」と表示されて使えなくなる問題が、かなりの頻度で発生する。アンプの電源は入っており、実際に接続されているのに、どうやら「繋がっていない」という扱いになっているようだ。当たり前だがその状態では、ゲーム云々の前に(別のオンボードオーディオデバイスなどに切り替えないと)一切の音が出せなくなる。

気になって調べてみたところ、HDMIを使ったAVアンプへの接続が安定しない現象は、似たような環境でそれなりに起こっているようだ。

この原因に関しては思い当たるフシがそれなりにある。アンプというのは普通、使うときだけ電源をONにして、使用しないときはOFFにしておく。この電源のON/OFFはPCの電源のON/OFFとは直接的に関係なく、「PCの電源は入っているが、アンプの電源はOFF」とか、あるいは「PCを起動した直後はアンプの電源は入っていなかったが、途中からONになった」という状態は日々普通に起こる。これにより不定期にデバイスの電源が切れたり入ったりするため、Windows(ドライバ)が適切にアンプを認識できなくなっているのでは……と考えている。

この問題自体は、ビデオカードからオーディオデバイスを初期化してしまえば解決できる。具体的には、ビデオドライバの「デジタルオーディオ設定」から1回「オーディオをオフにする」を選択して適用し、再度AVアンプを選択して認識させ直せば良い。数秒~数十秒後には、HDMIオーディオデバイスが復活しているはずだ。

ビデオドライバの「デジタルオーディオ設定」で、HDMIの音声をOFFにする
HDMI経由で接続している音声デバイスが消えてしまった場合は、ビデオドライバの「デジタルオーディオ設定」から「オーディオをオフにする」を選べば良い。そこから再度AVアンプを認識し直せば、音声が正常に出力できるようになる

面倒ではあるが、OSの再起動では直らないことが多く、こちらの方が確実に解決できる。

トラブル解決をもくろみ、「HDMIスプリッタ」を導入してみるが……

上記のような接続の問題を回避できないかと考え、ある機器を試してみた。HDMI信号をそっくりそのまま2分割できる、「HDMIスプリッタ」と呼ばれる製品だ。

B003U0M3BQ

通常、ビデオカードから直接2系統の映像と音声を出力する場合は、「デュアルディスプレイ扱い」になってしまう。これだと低負荷時でもGPUのクロックが下がらないだけではなく、ゲームプレイ時など性能の足かせになってしまう可能性がある。だが、HDMIスプリッタを使えば、1つの出力を2つにそのまま分けることができるので、シングルディスプレイの環境を維持しつつ、モニタとアンプの両方に信号を送れるはずと考えたわけだ。

値段的にも大して高くはなく、たとえこれに使えなくても手持ちのゲーム機とモニタの配線に活用できると踏んだので、注文&接続テストを試みる。作り自体は意外としっかりしており、適切にHDMI信号が分配できることが確認できた。早速、ビデオカードから伸びるHDMIのケーブルの先に接続し、モニタとアンプにそれぞれ繋いでみたのだが……。

残念ながらHDMIスプリッタでは問題は解決できず

ざっくりと結論から書いていくと、HDMIスプリッタでは別の問題が発生し、常用することができなかった。HDMIで接続しているAVアンプ(オーディオデバイス)を、OSから正常に認識できなくなってしまうのだ。Windowsでは、HDMIで接続した機器が何であるか自動で認識するのだが、それが起動するたびにころころ変わってしまい、安定して5.1ch環境を維持することができない。

もう少し具体的に説明しよう。現行のWindowsはドライバが適切にインストールされていれば、そのオーディオデバイスが何chの出力までに対応しているか認識し、「スピーカーのセットアップ」でデバイスごとに出力可能なch数を表示する。例えば、7.1chまで可能ならステレオ(2ch)~7.1chサラウンドまで表示されるし、5.1chまでならステレオ~5.1chサラウンドといった感じだ。サラウンドAVアンプがデバイスとして適切に認識されているなら、機種によるが5.1ch(か7.1ch)までちゃんと表示される。

「デジタルオーディオ設定」でAVアンプとして認識している様子 サラウンド対応システムなら、5.1(7.1)chで出力できる
HDMI接続でAVアンプが正常に認識されていれば、「スピーカーの設定」にステレオ以外の選択肢が現れ、サラウンド音声が出力できる

では、オーディオデバイスを「ステレオ再生のみが可能なデバイス」と認識したらどうなるだろうか?もちろん、ステレオ(2ch)までしか表示されない。そしてほとんどのPC用モニタは、良くてステレオスピーカーまでしか搭載してないはずだ。つまりWindowsが「HDMIで接続されている機器はPCモニタである」と認識する限り、たとえ分配した片方がAVアンプに繋がっていても、5.1chの出力ができないということになる。

「デジタルオーディオ設定」でPCモニタとして認識している様子 ステレオスピーカーしかついていないモニタでは、2chまでの出力しかおこなえない
HDMIに接続されているのがモニタだとWindowsが認識する場合は、モニタが対応してるステレオ(2ch)までしか出力できない。むりやり2台接続しているわけだから、しょうがないのだが……

HDMIスプリッタを使うと、この「HDMIで接続されている機器」(として認識されているもの)がPCを起動するたびに変わってしまう。AVアンプと認識されれば5.1ch出力ができるが、PCモニタと認識すれば2chまでしか出力できない。これがどういう基準で変わるのかわからず、認識をAVアンプに固定する方法がわからなかった。この状態のまま使い続けるのは、ちょっと無理だ。

もちろん、これはHDMIスプリッタが悪いわけでも、Windowsが悪いわけでもない。完全に想定外の使い方だろうから、完全な自己責任の問題だ。とはいえ、個人的な意見としては、正直なところ残念だった。

結論としては、PCゲームを5.1chでプレイするハードルは未だ高いと感じる。HDMIを使ってみて、ますます「映像と音が分離できればいいのに」と感じてしまった。やはり現状では、適切なオンボードサウンド/サウンドカードを選び、「Dolby Digital Live」か「DTS CONNECT」を使うのが無難、というのが自分の認識だ。ビデオカードで「サウンドのみのHDMI出力」ができるようになれば、ずいぶん変わってくるのではないかとは思うのだが。