i7 4770+GTX 760のゲーム用自作PCの消費電力を計ってみた

PC電源

自作PCの電源はケチるな……と良くいわれる。これは電源自体のクオリティもあるが、それより「容量のでかい電源を積んでおけ」という意味であることも多い。まあ電源容量が足りないと「起動しない」や「パーツが壊れる」など大きな問題が起こりがちだが、余る分には特に困らないという事情もあるのだろう。ちなみに自分のPCは、前にレビューした「SS-650KM3」というSeasonicの電源を現在も使っている。

この電源を含めたPCを組んでから随分経つのだが、実は以前から「実際の消費電力はどんなものなのか」が気になっていた。ゲーム用だから容量に余裕があるモデルを選んだのだが、実は電源の効率は50%前後が一番良いとされ、それ以上でもそれ以下でも効率が悪くなるらしい。

まず、電源は50%前後の負荷時に変換効率も最大になります。つまり最大でも60%あたりまでに常用域が収まるのがベストで節電にも効果ありということになります。

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つまりむやみに大容量の電源を積むと、「高負荷時ですら50%に届かず省エネには不利で、おまけに(容量が大きい電源の方が基本的に高いから)無駄に高い買い物をしてしまう」ことになる。まさに「過ぎたるは及ばざるがごとし」という感じだ。

というわけで、先日サンワサプライのワットモニターを手に入れたので、早速自分のPCの消費電力を調べてみる。i7 4770 + Geforce GTX 760のゲーミングPCは、650Wの電源では実際にオーバースペックなのだろうか。

電源効率についての記述が不足していたので、一部リンクの追加と加筆修正。

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測定するPCのスペックと測定方法

消費電力を調べるPCのスペックは以下のとおり。なお、あまり重要ではない(=消費電力が大きくない)パーツは詳細を省略している。

テストをおこなうPC環境
CPUIntel Core i7 4770
M/BASRock Z87M Extreme4(Intel Z87)
GPUZOTAC ZT-70405-10P(Geforce GTX 760)
メモリDDR3 PC1600 32GB(8GB×4)
ストレージSSD×1, 3.5インチHDD×3, DVDドライブ×1
電源Seasonic SS-650KM3(650W)
OSWindows 7 Professional SP1 64bit版

測定方法は、PC本体をワットモニターに繋いでベンチマークソフトを走らせ、その間の小数点以下を切り捨てた最大消費電力(ピーク値)を記録する。そのため、常時この消費電力量になっているわけではない点には注意して欲しい。

消費電力測定結果と雑感

ワットモニターでの消費電力測定結果
アイドル時54~56W
CINEBENCH1コアテスト84W
フルコアテスト135W
3DMark(2013)271W
OCCTCPU177W
VGA234W
POWER SUPPLY325W
Battlefield 4(オンラインマルチ時)274W

調べてみてまず驚いたのは、とにかくOCCT実行時の凶悪な消費電力の高さ。3DMarkやBF4が270W強だったことから大体そのあたりが限界かと思ったら、POWER SUPPLYテストでは325Wと、50W以上も増えている。OCCTの負荷は凄いと聞いていたものの、ここまでとはちょっと想像していなかった。PCを暖房器具にしたいときは、OCCTのPOWER SUPPLYテストをおこなうと良さそうだ。

OCCTをとりあえず除外して考えると、3DMarkやBF4を全力で回しても270W強であることから、“普通に”使う限りは350W電源ぐらいでも何とかなりそうな印象はある。一部の電源は最大出力でサバを読んでいるものがあり、数十秒から数分間しか耐えられないピーク出力で「○○W電源」と表記しているものがあるが、その手の製品を避ければ400Wクラスの電源でも、問題が起こることはまずなさそうだ。
ちなみに、「ピークパワー=最大出力」としている電源の場合、マイナス数十~100Wぐらいが実際の出力可能W数になっているので、スペック表などでチェックしておきたい。

結論としては、自分が使っている650Wの電源は明らかにオーバースペック、ということになるだろう。GTX 760は補助電源×2という結構電気食いのビデオカードなのだが、i7と組み合わせても400Wぐらいの電源で十分……というのは、個人的には結構インパクトがある結果だった。

パーツそのものの消費電力を推定してみる

上記の消費電力はあくまで「電源が消費している最終消費電力」であり、実はパーツそのものの消費電力ではない。今回使用した電源は80PLUS GOLDの認証を取得しており、変換効率は負荷20%で87%以上、負荷50%なら90%以上となっている。3DMark実行時の効率を88%、OCCT POWER SUPPLY実行時の効率を90%とざっくり仮定して“パーツの実消費電力”を考えてみると、以下のようになる。

電源を除くパーツ全体の推定消費電力
ベンチマーク総消費電力推定パーツ消費電力
3DMark(2013)271W238W
OCCT POWER SUPPLY325W292W

あくまで推定でしかないが、さらに消費電力の値が低くなったことがわかる。この辺りの話は以下のページに詳しいので、気になる方は読んでみて欲しい。

実際に自分の80PLUS認証電源がどれぐらいの効率なのかは、以下のページが参考になるだろう。英語のページだが、メーカー名と型番で探せるので、そう難しくないはずだ(ただし、掲載されていないモデルもある模様)。

最後にi7 4770 + GTX 760環境で“効率がよい”電源容量を考えてみる。最初の方で引用した記事で語られている「ピーク時で60%ぐらいに収まるのがベスト」と仮定すると、450~500W辺りが丁度よいスペックになるだろう。最近は400Wクラスの小容量PC電源は人気がないので、販売価格のバランスから考えて、500W辺りが一番お得だったのかもしれない。次にPCを組むときの参考にしたい。