PCのスリープ時に点滅する電源LEDを消す(消灯する)方法

発光ダイオード(LED)

普通のWindows PCの場合、OSをスリープ状態にするとパワー(電源)LEDが点滅する。これ自体は既定どおりの現象なのだが、PCケースに搭載されているパワーLEDが青くて想像以上に眩しい――まさにこれを書いている自分自身のような環境――だと、チカチカするのが気になってしょうがない状態になってしまう。
これに関しては、シンプルに「パワーLEDの配線をM/Bから抜いてしまえばいいだろ」と思う人もいるだろうが、常時点灯しているなら特に気になるわけではないし、やっぱり起動状態が一目でわかるLEDはあって困るものではない。結局のところ、「使ってないPCの眩しいLEDが点滅している」というのが一番問題なのだと、個人的には思う。

というわけで、この「スリープ状態で点滅するLEDを何とかする方法」を考えてみたい。

1. BIOS(UEFI)の設定を変更する

スリープ時のLED状態をもしBIOSで設定できるなら、これが一番楽で効果が高い。
今自分が使っている自作PCはASROCK製のM/Bを搭載していて、これには「Good Night LED」という名称で、LEDの状態を設定する機能がついている。公式ページの内容を引用して説明すると、以下のようなものだ。

「Good Night LED」はシステムが休止/スリープモードの場合は電源とキーボードインジケーターランプも自動的にオフにします。

ASRock Tech Zone

このGood Night LEDを使用してみたところ、確かにスリープ時でもLEDが完全に沈黙することが確認できた。よかった万歳!……と言いたいところなのだが、実はこれ、あまり役に立たない。上で引用した動作だけで終わってくれればいいのだが、さらに以下のような挙動をするようになっているからだ。

ASRock「Good Night LED」は不必要なLEDインジケーターランプをオフし、さらによい環境を提供します。BIOSで「Good Night LED」項目をオンにするだけで、システムを起動する際に電源、ハードディスク、ネットワークのインジケーターランプをすべてオフにします。

ASRock Tech Zone

そう、なんとGood Night LEDを使用すると、M/Bに繋がっているほぼ全てのLEDが常時消えてしまう。これでは「LEDの配線を引っこ抜く」のとほとんど変わらない。「スリープ状態のときだけ消灯する」などの設定があるといいのだが、残念ながらない。正直なところ何のためにあるのか、よくわからない機能だ。(あえて言えば、PCケースを開けなくてもLEDを無効化できる、ぐらいの機能だろうか。)

なお、現在は処分してしまった古いMSIのM/Bを使っていたときは、スリープ時だけにLEDを消灯させることができた。OSは今は同じWindows 7で、かつ(後述するような)OSの設定変更もしなかったため、恐らくBIOS側にASROCKと同じような設定項目があったものと思われる。(すでにM/Bは手元にないし、結構前の話なので項目名などは完全に失念。)

というわけでASROCK製の場合は使い物になるかは微妙だが、他のメーカー製ならば、BIOSの設定だけで解決できるM/B(機種)も一定数あるのではないかと思う。

2. Windowsの設定を変える

BIOSで問題が解決できない場合は、やはりWindows側の設定を変えるということになる。というかそもそもの問題は、Vista以降のWindowsの仕様変更にもあるからだ。
PCをシャットダウンさせずに省電力モードに移行させる場合、大きく分けて2種類の方法がある。「スタンバイ」と「休止」だ。具体的な違いは以下のとおりになっている。

従来のスリープ機能は、現在の状態をメモリに保存してコンピュータを節電状態にする「スタンバイ」と、ハードディスクに保存して電源を切る「休止状態」の2種類があった。前者は中断・復帰が高速だが電源が切れると作業内容が消失してしまい、後者は電源の有無に関わらず中断できるが動作が遅いという背反する特徴があった。

ハイブリッドスリープとは 【 hybrid sleep 】 - 意味/解説/説明/定義 : IT用語辞典

しかし、Windows Vistaから「ハイブリッドスリープ」という、両方のスリープの“いいとこ取り”をしたような機能が導入された。そして、引用先の記事の先にも書かれているのだが、Vista以降はこのハイブリッドスリープが“スリープの標準動作”となった。

ハイブリッドスリープでは中断を指示するとまずスタンバイ状態となり、メモリに作業状態を退避する。その後、スタンバイ時間が18時間を超えたりバッテリー残量が少なくなってくると、内容をハードディスクにも保存する。これにより、中断時間が短い場合はスタンバイと同様に高速に復帰でき、電源がバッテリーが切れても作業内容が消失する心配がなくなる。

ハイブリッドスリープとは 【 hybrid sleep 】 - 意味/解説/説明/定義 : IT用語辞典

一言でまとめてしまえば、「スタンバイ並の短い時間で休止できるようになった」という感じだろうか。
ただし、このハイブリッドスリープ、機能的には問題ないのだが、挙動としては若干の問題がある。まず、スリープはこの“ハイブリッドスリープのみ”になってしまい、スタンバイと休止が個別に選べなくなってしまった。また、基本的にはPCからは(実態は「休止」でも)「常時スタンバイ状態」に見えてしまうのだ。
基本的にPC本体のLEDが点滅するのは、スタンバイ状態のときだけなのだが、このハイブリッドスリープに統合されたせいで、「スリープにすると、とにかくパワーLEDが点滅する」状態になってしまった。本来休止は電源を完全にOFF(電源ケーブルやACアダプタを抜く)にしても大丈夫な仕組みなので、本来ならLEDを点滅させて(利用者にスリープ状態を)ユーザーに知らせる必要はあまりない。にもかかわらず、ハイブリッドスリープを使うと、長時間使わない休止と同じつもりでも、スタンバイと同じようにパワーLEDが点滅し続けてしまう。

この問題を解決するには、ハイブリッドスリープの使用を中止して、元の「スタンバイ」と「休止」の選択式に戻すぐらいしか手がないようだ。基本的に休止を使うようにすれば、パワーLEDは点滅しなくなる。
Windows 7の場合は、具体的には以下のように設定する。

  1. スタートボタンの「プログラムとファイルの検索」に「電源」と入力すると「電源プランの編集」が表示されるので、選択する。
  2. 「プラン設定の編集」に「詳細な電源設定の変更」があるので選択。
  3. 「詳細設定」の「スリープ」に「ハイブリッドスリープを許可する」があるので、「オフ」(許可しない)に設定する。
電源オプションの設定画面
ハイブリッドスリープを「オフ」に設定した状態。他にもHDDの挙動など色々な電源管理ができるので、設定を変更する機会は結構あるかもしれない。

これで、デフォルト設定のハイブリッドスリープは使えなくなるが、代わりに(XPの頃と同じように)「スタンバイ」(通常のスリープ)と「休止」が選択できるようになる。
自分の場合は、前述のようにBIOSの設定では解決できなかったので、現在はこの方法を使っている。使い分けとしては、少しだけ放置したいときは、LEDが点滅しても困らない「スタンバイ」、長時間使用しないときはLEDが消灯する「休止」にする……という感じだ。せっかく搭載された高機能なハイブリッドスリープが使えないのは若干残念なのだが、デスクトップPCではあまり困らないのも事実ではある。

以上、完璧な対応策とはいえないかもしれないが、「ケースを交換したらLEDが予想以上に眩しかった!困る!!」というような(自分のような)人は、参考にしてみて欲しい。