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200MB/sの大台をうかがう最速クラスHDD 東芝「DT01ACA300」レビュー

DT01ACA300

PCを新しくするついでに「古くて容量の小さいHDDを、新しくて容量の大きいHDDにまとめてしまおう!」と思い立った。ご存じの通り、HDDは消耗品で古いものを使い続けるのはそれなりにリスクがあるし、そもそも小さい容量のHDDをたくさんぶら下げておくのは、スペース・発熱・消費電力の点から考えてもあまりよろしくない。というわけで7200rpmで3TBのHDDと5900rpmで4TBのHDDをそれぞれ購入し、「今までのデータを一気に整理し、かつ用途に合わせて使い分ける」という運用に切り替えることにした。

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今回はその“7200rpmで3TB”のHDDである東芝製「DT01ACA300」のレビュー記事になる。

「DT01ACA300」は東芝製かHGST(日立)製か

具体的なレビューに入る前に、このHDDの素性についてちょっと整理しておきたい。

ご存じの方も多いと思うが、東芝といえば基本的に2.5インチサイズ以下のHDDしか販売していなかった。それは(収益性が低いといわれる)3.5インチのHDDを製造していなかったからなのだが、近年のHDD業界再編がその状況を変えることになる。2012年、東芝はウェスタンデジタルに買収されるHGSTの設備を(独占禁止法の関係から)取得することになり、3.5インチHDDを製造・販売することになった。

つまり中身はHGST(日立)製で、ブランドだけ東芝というのがこのHDDの正体だ。実際、当初は本当にラベルだけが東芝で、製品シールの記載やPCに接続して調べるとHGST時代の「HDS723030 BLE640」という型番がそのまま表示されていたことがうかがえる。

ストレージ関連では、先々週に2Tバイトモデルが登場した東芝製3.5インチHDDに、3Tバイトモデル「DT01ACA300」が追加されている。元HGSTのHDD工場で製造したモデルで、製品シールにもHGSTタイプの型番「HDS723030 BLE640」が確認できる。価格は1万4000円前後だ。

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ただし、現在は事情が異なるようで、PCのデバイスマネージャーなどでチェックすると、きちんと「TOSHIBA DT01ACA300」と表示されていることが確認できた。さすがにこのあたりは昨年(2012年時点)で修正されたようだ。

デバイスマネージャー上のDT01ACA300の表示
デバイスマネージャー上での表示。「DT01ACA300」と表示されていることがわかる。(SCSI HDDのように表示されているのはこちらの環境の問題なので、気にしないで欲しい。)

しかしながら、よくよく調べてみると表示される型番が変わっているだけで、ファームウェアのバージョンなどは「HDS723030 BLE640」から特に変わっていない様子。基本的に今でも「HGSTが設計・製造したもの(のOEM品)」と考えて間違いはなさそうではある。

「DT01ACA300」基本スペック

若干前置きが長くなってしまったが、本題に入ろう。「DT01ACA300」の基本スペックは次の通り。

「DT01ACA300」スペック表
型番DT01ACA300
(HGST時代は「HDS723030 BLE640」)
サイズ3.5インチ
容量3TB(フォーマット後は2.72TB)
インターフェースSATA3.0 (SATA 6Gb/s)
回転速度7200rpm
キャッシュ64MB
プラッタ1TBプラッタディスクx3
AFT採用

スペック的には3.5インチHDDとしては“平均的”というレベルで、特に見所と呼べる場所はない。2013年現在では1TBプラッタディスクはもはや何も珍しくなく、あえて語ることも……といってしまいそうなのだが、実はこの「DT01ACA300」、今流通している3TBの7200rpm HDDとしては「最速レベル」ともネットでいわれている。詳しくは後述するが、噂どおりのベンチマーク結果が出るのかは気になるところだ。

とはいえ近年のHDDは、低発熱・省電力のニーズが高まっており、3.5インチサイズでも回転速度が5000rpm台のものが人気を集めている。このHDDはある意味“昔ながら”といえる7200rpmの高回転モデルで、これは性能的には有利だが、発熱や騒音という観点からは逆にデメリットになりうる。「速度が欲しいならSSDにするのが当然」という風潮が一般的になったPC界隈で、「あえて今、7200rpmモデルを選ぶ意味があるのか」というのも気になるポイントではあるだろう。

ちなみに、今では珍しくない3TB(2.2TB以上)+AFT採用タイプではあるが、サポート切れも近いWindows XPを使用しているか、32bit Windowsでブートドライブとして使うつもりなら、使用時に問題が起きる可能性がある。以前書いたのでここでは詳しくは触れないが、対象になりそうなら以下の記事を参照していただきたい。

パフォーマンスをテストしてみる

具体的なパフォーマンスや使用感の話に入ろう。気になるベンチマーク結果は以下のとおり。測定環境はSATA 3.0(6Gb/s)接続でOSはWindows 7 64bit。使用したソフトはCrystalDiskMarkとなっている。

DT01ACA300ベンチマーク結果(4k)
「DT01ACA300」のベンチマーク結果(3TB 7200rpm キャッシュ64MB)

比較対象として、以前レビューしたウェスタンデジタルの「WD30EZRX-1TBP」のベンチマーク結果を以下に貼り付ける。

「WD30EZRX」ベンチマーク結果 (アロケーションユニットサイズ 4KB)
「WD30EZRX-1TBP」ベンチマーク結果(3TB 5400rpm キャッシュ64MB)

一見しただけで、7200rpmモデルの面目躍如といった結果であることがわかる。DT01ACA300はシーケンシャルリード / ライトとも190MB/s前後の速度が出ており、200MB/sをうかがうレベルになっている。同じ1TBプラッタでキャッシュも64MBながら、5400rpmのWD30EZRX-1TBPとは50MB/s前後の差が付いており、まさに勝負にならないという印象だ。5000rpm台のHDDが昔の7200rpmの速度に追いついたと思ったら、今の7200rpm HDDはさらに先を走っていた、ということになるのだろう。

反面、512kや4kのランダムアクセスになると速度はグッと落ちてしまい、5400rpmモデルとの差がないどころか、場合によってはスコアが逆転されてしまっている。HDDなのでランダムアクセスでの大幅な速度低下は避けられないことではあるのだが、「7200rpmでもあらゆるシチュエーションで速いわけではない」ということは頭の隅に入れておいた方がいいかもしれない。

アロケーションユニット(クラスタ)サイズを変更してのテスト

以前WD30EZRX-1TBPをレビューしたときにも同じ実験をしたのだが、このDT01ACA300でもアロケーションユニットサイズを変更するとアクセス速度がアップするのかチェックしてみたい。前述のWD30EZRX-1TBPでは何の変化もなかったのだが、このHDDではどうだろうか。

DT01ACA300ベンチマーク結果(4k)
DT01ACA300ベンチマーク結果(64k)
DT01ACA300を違うクラスタサイズでフォーマットしたもの。上が4KB、下が64KBになる。

見ての通り、誤差レベルの違いしかないことがわかる。フォーマット時のアロケーションユニットは、デフォルトの4KBで十分だろう。やはり、AFTを採用したモデルでは効果がない方法と考えた方が良さそうだ。

騒音と発熱について

7200rpmの高速モデルということで、騒音と発熱が気になるところである。最初は「発熱」についてだが、CrystalDiskInfoで別のモデルと比べたところ、以下のような結果になった。

CrystalDiskInfoでの温度表示
CrystalDiskInfoでの温度表示。「DT01ACA300」は明らかに他のHDDより高い温度を示している。

表示されているそれぞれのドライブについて説明すると、Cドライブ(左側)が東芝製SSD、DドライブがこのHDD、Eドライブ(右側)がSeagateの5900rpmのHDDとなっている。全体的に温度が高めなのは真夏で室温が30度を超えていたからなのだが、その中でもDT01ACA300は37度と、他と比べても目を引く温度になってしまっている。もちろん、「極端に高い」というほどではないし、物理的に回転速度が高いのだからしょうがないところではあるのだが、それでも省エネタイプの低速HDDと比べれば確実に温度が高いのは間違いないと言えそうだ。

お次は「騒音」だが、こちらは完全に予想が外れる結果となった。「ディスクの回転速度だけではなく発熱量も高いのだから、相応に騒音も大きいのでは」と使用前は考えていたのだが、実際に使ってみるとそんなことはなく、もちろん主観ではあるが極めて静かなHDDという印象を持った。具体的にはディスクアクセスを集中させている状態で耳を近づけても、シーク音やヘッダの移動音などのHDD自体の音はほとんど聞こえない。他社のHDDが「省エネタイプ」という形で回転数を落として騒音の低減を図っている中で、7200rpmを維持したままこれだけ静かなHDDに仕上げたのは、実のところちょっと驚きである。

結論としては「温度は(省エネモデルと比べれば)回転数なりに高いが、その反面、発生する騒音を上手く押さえることに成功した静音モデル」という評価ができるのではないか。

“HDD”として見れば十分「高速」で「静か」。速度と容量の二兎を追いたい人は買っても損はない

以上の結果から考えると、DT01ACA300は7200rpmモデルのHDDとしてはかなり優秀な静音性と転送速度を両立しており、若干運用時の温度が気になるものの、総じて不満のほとんどない製品になっている。自分自身は近年「HDDで重要なのは容量。中途半端な速度があっても意味がないから、エコモデルでいいや」と考えており、買い替えるにしても5000rpm台のHDDばかりだったのだが、DT01ACA300を使ってみて「7200rpmモデルも悪くない」と思えるようになった。

もちろん、今更いうまでもなく、いくら「速い」とはいえHDDなので、絶対速度でSSDにかなうわけがない。例えシーケンシャルリード / ライト速度が200MB/s弱あったとしても、SSDでは500MB/s以上を実現しているモデルも珍しくなく、DT01ACA300の2倍どころかSATA 3.0(600MB/s)の上限すら普通に見えてきている。HDDのようにディスクを物理的に回転させる必要もないのだから、省エネ性だって当然高い。

それでも今回自分がDT01ACA300を購入したのは、「データサイズが大きくそこそこの処理速度も確保したい動画や画像の編集用」や「大容量ゲームデータのインストール用」のディスクが欲しかったからだ。SSDは高速である代わりにバイト単位の価格が高く、書き換え可能なデータ量にも限界があるといわれているので、数十~数百GBのデータを頻繁に書き換える用途に使うにはコストパフォーマンスが悪く、信頼性にも疑問が残る。そこで今回の「SSDよりはかなり遅いが、エコモデルのHDDよりは確実に速い」と思われた7200rpmのHDDを使ってみたが、その目的は今現在十分に果たされている。

このHDDは、「SSDほどの速度はいらない(あるいは高いので選択肢に入らない)し、ストレージ自体も大容量の方がいい。でも、エコタイプのHDDのパフォーマンスには満足できない」というような人が選ぶべきモデルだろう。前述のように環境は選ぶが、もちろんOS(Windows)をインストールして使うこともできる。2013年7月現在では他社製HDDとの価格差がほぼなく、3TB HDDとしては最安値に近いところも嬉しいところだ。若干発熱量が高いためエアフローには気をつけたいところだが、その点さえクリアできれば、HDD購入時の有力な選択肢に入る製品なのは間違いない。