速い!安い! トランセンド USB 3.0メモリー「TS32GJF700」レビュー

Transcend TS32GJF700

自宅でもUSB 3.0が使える環境が先日やっと整ったので、「まずはお試し」という感じでUSB 3.0対応ストレージを購入することに。基本的にUSBメモリーならあっても小さくて邪魔にならないし、単価としては(HDDなどに比べ)安いのでAmazonで良さそうなものを見繕うことにした。見つけたのは以下のトランセンド製のUSB 3.0対応 32GB USBメモリー。「超高速」と呼ばれるようなタイプではないものの、そこそこの速度と2000円以下で変えるお手軽さでAmazonでも人気の商品になっている。

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この「TS32GJF700」、実際に購入&使用してみてどうだったのかレビューしてみたい。

「極めて普通」のUSBメモリー。特徴は「USB 3.0対応」程度

初っぱなから身も蓋もない話をすると、見出しで書いたとおりに、この「TS32GJF700」は普通としか言いようがないUSBメモリーだ。見た目はトランセンドお得意の黒いプラスチック製で、若干厚さが薄めな以外は、大きくも小さくもなく特徴と呼べるところはほとんどない。トランセンドの廉価タイプUSBメモリーでは定番の、工夫がなく単に外れるだけのキャップなのも変わらずだ。

唯一の違いとしては、差し込み口がUSB 3.0への対応を示す青色になっている程度。これだとUSB 2.0までの対応にとどまる旧型モデルと並んでいても、ちょっと見分けが付きそうにない。あとはアクセス状態をあらわすLEDが鈍い青色なのが、(眩しくないので)ちょっとだけ気が利いている程度だろうか。まあこの辺りは「値段なり」ということになるのだろう。

ただし、USBメモリーに(小型化はともかく)奇抜な見た目を期待する人は少ないだろうから、そこは大した問題ではない。ほとんどの人が気になるの実用性のはずなので、早速読み書き(Read / Write)速度の結果を見ていきたい。Intel Z87チップセット搭載のUSB 3.0コネクタを利用しての、CrystalDiskMarkでのベンチマーク結果は以下のとおり。

「TS32GJF700」のベンチマーク結果(USB 3.0接続)
「TS32GJF700」のベンチマーク結果(USB 3.0接続)

比較対象として、同じトランセンド製USBメモリーの「TS16GJF600」(16GB USB 2.0)のベンチマーク結果を貼り付けると次のとおり。

トランセンド JetFlash 600 TS16GJF600 (16GB)の速度
「TS16GJF600」のベンチマーク結果(USB 2.0接続)

ご覧の通り、読み取り速度はシーケンシャルと512K単位の両方で80MB/sを超えていて、USB 3.0接続のメリットを十分に生かしていることが伺える。言うまでもなく、USB 2.0のメモリーである「TS16GJF600」とは比べものにならない結果だ。値段との兼ね合いの話になるが、「(この値段しては)速い」と言っても差し支えはないと思われる。相対的にはこれより速いUSBメモリーはいくらでも存在するが、32GBで2000円以下の「安い」USBメモリーでこれだけの結果が出れば御の字だろう。

反面、書き込み速度は物足りない。シーケンシャルで20MB/s、512k単位になると速度は1/10まで低下しており、USB 2.0接続でもまったく問題ないレベルの速さといえる。もちろん、壊滅的に遅いというわけではないし、USBメモリー上で大容量のデータを高頻度で何度も書き換える機会は少ないだろうが、もうちょっと頑張っていただきたいのが正直なところだ。

ただ、当時は“高速メモリー”という売り文句だった「TS16GJF600」に比べれば約2倍の速度は出ており、最低限の面目は保った形になるかもしれない。

「USB 2.0」での使い勝手を探る

USBストレージの場合、違う機器間でデータをやりとりする機会はかなり多い。当然「片方はUSB 3.0に対応しているが、もう片方はUSB 2.0までしか対応してない」なんてことは珍しくないわけで、USB 2.0接続での速度も気になるところだ。というわけでUSB 2.0環境でもベンチマークをおこなった。結果は以下のとおり。

「TS32GJF700」のベンチマーク結果(USB 2.0接続)
「TS32GJF700」のベンチマーク結果(USB 2.0接続)

USB 2.0は480Mbps(60MB/s)が規格上の最高速度であるため、USB 3.0では80MB/s以上出るはずの読み取り速度が一気に半分ほどに低下している。実効速度は40MB/s程度もあるわけで「遅い」とまでは言えないが、本来のポテンシャルから考えれば残念ながら平凡な数値に落ち着いている。また、USB 3.0接続でもいまいち奮わなかった書き込み速度は、さらに16MB/s程度まで落ち込んでいるのも気になるところだ。予想されたことであるが、やはりUSB 2.0接続では性能を十分に発揮できないということなのだろう。

とはいえ、同じUSB 2.0接続である先ほどの「TS16GJF600」に比べれば、読み書き共に6MB/s程度の速度の上積みはある。「フルに性能を引き出せない」ことを納得済みならば、「そこそこ速いUSB 2.0メモリー」として使うのも悪くないかもしれない。今後USB 3.0の普及はより進むだろうから、「将来性」で買っておくという手も悪くないという印象は受ける。

「永久保証」について

このTS32GJF700にもトランセンド製メモリーでは定番の「永久保証」が付いている。以前は購入したUSBメモリーの中に、登録用の実行ファイル(ActivateWarranty(JF).exe)が入っていたのだが、現在は普通にWebサイトにアクセスしてそこから登録する形になっている。いつからか仕様が変更されたようだ。2013年7月現在では以下のページになっている。

登録作業自体も変わったようで、ActivateWarranty(JF)を使用していたときはメールアドレスと名前の入力だけで製品登録が終わったのだが、今はトランセンドへ会員登録が必須になっている。製品単位ではなく、ユーザ単位で管理するようになったということなのだろう。

ただ、実際の作業量は増えているわけで、2000円弱の商品にそこまでの手間がいるのは如何なものかと思わなくもない。まあ“永久”保証だからしょうがないのかもしれないが。

USB 3.0対応メモリーとしてはあくまで「そこそこ」の性能。ただ、価格から見たCPはかなり高い「お得」な製品

最初に書いたように、「TS32GJF700」はUSB 3.0対応という点を除けばなんの変哲もないUSBメモリーだ。どこをとっても「普通」で、「特徴がないのが特徴」と言ってしまえるような商品だろう。確かに読み取り速度は(タイトルに書いたように)高速だが、書き込み速度はUSB 2.0(のメモリー)レベルと言ってもいい。

それでもAmazonのランキング上位に居続けているのは、「そこそこの容量でそこそこの速度を確保しながら、価格が安い(最安値クラス)」というところからだろう。実際、2000円弱の価格で容量は32GBもあり、かつ(書き込みはともかく)読み込みが80MB/sを超えるなら十分すぎるほどお得だ。実際自分も「買って損はなかった」と思っている。

最速を求めるのではなく、そこそこの性能でいいから安いUSBメモリーが欲しいという人には、この「TS32GJF700」はピッタリではないだろうか。簡易的なバックアップからデータの受け渡しなど、様々な場面でそつなく役だってくれるはずだ。