安価な10.1インチ IPS液晶Androidタブレット KEIAN「M101R」レビュー

自宅で使うだけの、外に持ち出すことはまったく考えないタブレットを購入した。最近は7インチタブレットが人気を集めているが、持ち歩くわけではないので画面サイズはなるべく大きい方が良いと考え、10インチタブレットを選ぶことにした。同じぐらい重要だったのは価格で、「なるべく安く、かつそこそこの10インチタブレット」という条件で探した結果、以下のモデルを選択することに。

B00C1T4B62KEIAN アンドロイドタブレット 10インチ M101R

いわゆる典型的な「中華Pad」あるいは「APad」と呼ばれるもので、メーカーのKEIAN(恵安)はパッケージングして発売してるだけ、という商品だ。とはいえ直輸入の中華Padと違いちゃんとメーカーによる1年保証が付いているし、(中華フォントではなく)日本語フォントがちゃんと入った日本語化もされている。価格も1万円半ばから後半と10インチクラスのタブレットとしてはかなり安価な部類に入る。

Androidに限れば「タブレット=Nexus (7)」という勢いの昨今の中で、この「M101R」は選ぶ価値があるのか。また、選ぶとしたらどんな人が買うべきなのかレビューしてみたい。

「M101R」基本スペック

M101Rの基本的なスペックは以下のとおり。

型番M101R
CPURockchip RK3066 / ARM Cortex-A9 Dual Core 1.6Ghz
GPUMali 400 Quad Core 266MHz
搭載メモリDDR3 1GB
ストレージ内蔵16GB / MicroSDスロット (32GBまで)
ディスプレイ10.1インチ 1280×800 (16:10) FFS(IPS)液晶 静電容量式10点マルチタッチパネル
OSAndroid 4.1.1
無線LANIEEE 802.11b/g/n
Bluetooth4.0
入出力端子micro USB 2.0 (ホスト x1, クライアント x1), MicroSDスロット, Mini HDMI, イヤフォンジャック, ACアダプタ入力 (5V 2.5A)
カメラ前面 30万画素 / 背面 200万画素
バッテリー6400mAh
サイズ・重量(W)175mm x (H)263mm x (D)11.2mm / 675g
付属品ACアダプタ, Micro USBケーブル, OTGケーブル, イヤフォン, 簡易説明書

スペック的には「普通」としか言いようがなく、同じ10インチクラスのタブレットとしてはハイスペックで有名な第4世代 iPadやNexus 10、通信機能やオーディオ機能に強みがあるKindle Fire HD 8.9などと比べれば見るべきところはない。唯一勝っている点があるとすれば、MicroSDスロットが標準搭載されている程度だろう。特に画面解像度は1280×800しかなく、iPadがRetinaディスプレイ採用してから急速にブームになった「高解像度化」には無縁の存在と言える。

しかしコストパフォーマンスで見ると話は変わってきて、10インチタブレットとしては最安クラスの1万円半ば~後半という価格帯ながら、IPS液晶を搭載している。また、CPU(SoC)もそこそこ速いことで(中華タブレット界では)有名なRockchip RK3066(1.6Ghz)を採用しており、性能面での心配もあまりない。Bluetoothも搭載しており、全体的なバランスの良さは中々のものといえるだろう。

なお型番は全然違うのだが、同じKEIANから「KPD-102PS」という下位(?)モデルが発売されている。

B00BG64G2KAndroid4.1.1 10インチタブレット◇KPD-102PS

スペックはほとんど同じで違いが何なのかわからないぐらいなのだが、唯一Bluetoothのバージョンが古い「2.1+EDR」になっている。Bluetoothを使わない、あるいは使用頻度が低いなら違いはほぼないとも言えるので、安い方を買ってしまってもいいかもしれない。

Google Play(Android Market)が使えます!

まず誰もが気になる「標準でGoogle Playに対応しているのか」という点だが、これは見出しに書いたとおりに購入時点で対応している。無名の中華タブレット、あるいはドスパラやオンキヨーなど日本のメーカーが発売しているものでもGoogle Playに非対応のものが珍しくない中で、これは非常に大きなトピックだろう。実際に試した限りすべてのアプリがスムーズにインストールでき、普通に動作した。なぜKEIANはここを大きく宣伝しないのか、かなり不思議なぐらいと言える。

もちろんroot化(+カスタムファーム)による強制的なGoogle Playのインストールやapkを直接ダウンロードするなど、Androidアプリのインストール方法は他にもある。しかし前者は保証外の行為で文鎮化の可能性があり、後者は根本的に面倒でアプリによっては不可能という弱点がついて回る。「リスクなくお手軽に多数のアプリを使いたい」という条件を満たすには、やはりGoogle Playへの標準対応は必須と言ってもいい。Google直売のNexusを買うときなどは気にする必要すらまったくないところだが、(代理店経由で発売される中華Padを含めた)Androidタブレットを買うときにはぜひ考慮しておきたいポイントだ。

Google Play以外の標準インストールアプリについて

Google Play以外にもブラウザのGoogle Chrome、IMEのGoogle日本語入力、地図のGoogle MapなどのGoogleアプリと、画像や動画の閲覧、ファイラー等の最低限のアプリは標準で入っている。そのため(アカウント未登録などで)Google Playがすぐに使えない状態でも、ある程度までは使うことはできる。このあたりは嬉しい配慮だ。

ちなみにマーケットアプリとしてはGoogle Playが入っているにも関わらず、Tapnow Marketも入っていて、一部の通販サイトではこちらがインストールされていることが宣伝文句になっていたりする。まったくもって謎としかいえない販売戦術だが、もちろん利用者としては(Google Playがあれば)使う機会などない。ただ削除することはできないようなので、そのままフラッシュメモリのすみにでも眠っていてもらおう。

ハードウェア全体の特徴と印象

具体的なハードの方のレビューに入ろう。ただ前述のように飛び抜けた特徴はないため、特筆することはあまりない。淡々と場所別に紹介していきたい。

本体とディスプレイ

本体は値段なりの特に高級感のない、普通の10インチタブレット(画面比率16:10)になっている。画面表示範囲外の“フチ”の大きさも2cm弱と標準的で、厚みも11mm強と厚くもなく薄くもなく……という感じだ。スタンダードと言えばまあそうだが、形としては本当に特徴がない。

物理ボタンは電源ボタンと音量ボリュームの+/-だけで、残りは画面内のタッチメニューで操作する。入出力コネクタはUSBやMini HDMIなどこのあたりも普通だ。背面はざらついたガンメタリックのような塗装になっており、指紋などは目立たない。重量は実測で665gとスペック上の675gよりも若干軽いが、軽量さを目指した設計とは言い難い。ただ「重い」とまではいかないのが救いか。

ディスプレイの方は1280×800と最近のハイスペックモデルから見ると明らかに見劣りするが、Web閲覧やHD(720p)動画を見る程度なら普通にこなせる解像度は持っている。実際の画面は想像以上に綺麗で、ドット抜けやにじみ等もなく表面のガラスの質感も悪くない。また、IPSパネルであることがうたわれているだけあって視野角はかなり広く、どの角度から見ても色の変化は少ない。

最大タッチ可能数については公式のスペック表には書かれていなかったが、MultiTouch Testerというをアプリを使って調べてみたところ、10点のマルチタッチが可能であることがわかった。タッチ感度も特に悪さは感じないので、Retinaディスプレイなどの比べてppiが低いという点を除けば、十分合格点を与えられるのではないか。

ストレージと入出力コネクタ

16GBの内蔵ストレージを搭載していて、追加として32GBまでのMicroSDを装着できる。Androidタブレットしては標準的な構成だが、初期状態で入っているアプリはかなり少なく大した容量を使っていない。したがって大容量のゲームをいくつもインストールしたり、動画や画像をため込むつもりがないなら、追加のSDカードはすぐに必要にはならないだろう。

入出力コネクタはMini HDMIとmicro USB 2.0のホストとクライアントがそれぞれ1つずつ。それとイヤフォンジャックが存在する。OTGケーブルが付属していたためとりあえずホスト側にUSBメモリを接続してみたが、普通に機能した。外部ストレージとしてはMicroSDが標準で差し込めるが、それでもさらに足りないときなどに役立ちそうだ。もう1つのUSBのクライアント側だが、こちらはUSB給電のみを試してみたが充電はできなかった。残念ながら充電はACアダプタのみに限られるようだ。

ちなみにMini HDMIの方は、手元にケーブルがなかったので試すことができなかった。

無線機能関係

IEEE 802.11b/g/nに対応した無線LANと、Bluetooth 4.0機能を有している。

無線LANの方は普通に安定しており、NAS等からHD動画を再生してもぶつ切れになったりすることはない。ルータの方さえ問題なければ、自宅内で快適に使用できるだろう。Bluetoothの方はテストとしてキーボードを接続したが、こちらも何のトラブルなく普通に使えた。Bluetooth 4.0は省電力性に優れているとされているので、Bluetoothオーディオなどの長時間継続して使用する機器に効果を発揮するのではないか。

操作感とバッテリー

デュアルコアながらクロック周波数は1.6Ghzという比較的速いCPUを搭載しているせいか、OSのAndroid 4.1.1はかなりきびきび動く。OS単体の操作でもたつくことはまずなく、内蔵ストレージも比較的速いのかファイルコピーの作業なども遅いと感じることはない。アプリの挙動は後述するが、画面解像度とOS、CPUのバランスは取れていると感じる。

反面、バッテリーは6400mAhとそんなに小さい容量ではないが、若干物足りない。Web巡回や動画閲覧など、一般的な用途で一日使うつもりだと、恐らくバッテリーは途中で切れてしまうだろう。前述のようにCPUがそこそこ速いのと、10インチディスプレイのバックパネルを光らせ続けるのにそれなりの電力が必要になってしまうのかもしれない。

とはいえGPSもない10インチのタブレットを外に持ち出すことはあまりないはずで、自宅で使うぶんにはACアダプタを差せばいいだけだ。というわけでそこまで大きな問題にはならないと考えられる。

利用シチュエーションと使い勝手

次からは具体的な利用場面と、そこでの使い勝手をチェックしてみたい。

Web閲覧・巡回

1280×800の解像度があるため、横向きで使用すればほぼすべてのPC向けWebサイトが普通に閲覧できる。アプリ版のGoogle Chrome、Firefoxとも普通に動作し、日本語フォントも入っているため表示も美しく読みやすい。

PC Watch記事のスクリーンショット
PC Watchの記事を表示したスクリーンショット。いわゆる「中華フォント」ではなく綺麗で違和感もない。

ただPC向けのページは広告を含めて重いページも多く、それゆえに残念ながら表示がもたつくことはある。逆にスマートフォン向けのページは軽いことが多いので表示速度は快適だが、今度は10インチの画面サイズを持てあましてしまう。全体の印象としては「基本的には問題ない」というレベルだが、「完璧にどのPCサイトページでもぬるぬる表示できる」というレベルまでは期待しない方がいいだろう。

動画鑑賞

SDカード、LAN経由、動画サイト(Youtubeなど)と一通り試してみたが、DVDビデオ程度のSD画質はもちろん、フルHDの1080pの動画でも何ら問題なく見ることができる。コマ落ちは起こらないし、(アプリによるが)インターレース解除もハード側で適切にやってくれるようだ。思った以上にバッテリーも食わないので、動画の再生に関しては何の心配もなく利用できると感じた。

音楽鑑賞

実行自体はアプリを入れればいいだけなので、普通におこなえる。ただ背面のスピーカーはいちおうステレオだが口径はかなり小さく、「音が良い」とはいえない。ボリュームを限界まで上げても音が割れないだけマシ……とでも言えばいいだろうか。とはいえ特に音質の良さをうたっていないタブレットやPCは概ねこんなレベルなので、その(最低限の)レベルはクリアしている。

ヘッドフォン端子はホーム画面だと特に問題はないが、起動するアプリによっては何ともいえないノイズが発生するのが残念だった。出力される音も音楽再生専用機(iPodやウォークマンなど)に比べればもちろん劣る。手元にないので試せなかったが、Bluetoothオーディオを使えばまた印象は異なってくるかも知れない。

結論としては「音楽用途にも使えないこともないが、音にこだわるなら不適格」といった感じだろうか。まあ10インチのタブレットで音楽をガンガン聞きたい人はそう多くないだろうから、ほとんどの人には問題にならないのではいか。

画像・PDF閲覧

相当巨大なサイズのものでもなければ比較的サクサク表示できる。軽く写真を見るほか、PDFの資料をチェックする程度なら何の問題もないだろう。

ただ、画面の解像度がそこまで高くないため、「高精細」とは言い難い。一般的な良くある解像度が「1366×768」のノートPCで見るのと変わらない印象だ。

電子書籍の閲覧

自分で自炊した、縦解像度2000ピクセル強のJPEG/PNGで構成されたコミックと小説を、定番のアプリPerfect Viewerで読んでみた。印象としては、思った以上に「読める」という感じだ。画面解像度の問題から正直なところ全然期待してなかったのだが、良い意味で予想を裏切る結果となった。

具体的な感想としては、あまり精細とはいえないし、全体的なピクセル(ドット)の少なさからボケた眠たい印象を受けるものの、「読めない」という感じはない。コミックならセリフもきちんと読めるし、小説でも極端に字が小さかったり行間が狭くない限り概ね読むのに問題なさそうだと感じた。細かいところに目をつぶり「ざっくり読む(チェックする)」程度なら全然問題ないのではないか。

ただし、前述のように縦は800ピクセルしかない上、実際は画面下部にステータスバーがあるため画像の表示範囲は期待するよりずっと狭くなる。(最大化してもPerfect Viewerはステータスバーまで消してくれない。)画面サイズから考えれば当然「横持ちで見開き表示する」という使い方になるが、画面のアスペクト比は16:10でも、実際の表示比率は16:9程度になってしまう。

結果として横方向に何も表示されない“空白部分”が相当広くとられるため、見ていると画面の広さを有効活用できないもどかしさを強く感じてしまう。やはりコミックや書籍を見開きで気持ちよく読むためには、画面比率4:3のデバイスを用意した方がいいのだろう。

ちなみに縦持ちで単ページの表示も可能だが、10インチ画面では大きすぎて逆に読みづらい。ある程度情報密度が高い書類や図版が多い雑誌などならいいだろうが、コミックや小説には縦持ちは不向きだ。

ゲーム

自分はAndroidのゲームをやるつもりはないので評価できないのだが、代わりにベンチマークを走らせた。アプリは定番のAnTuTuベンチマークを選択。結果は以下のとおり。

M101RのAnTuTuベンチマークの結果
AnTuTuベンチマークの結果。総合スコアはNexus7などと比べても悪くない。

総合スコアは「11157」と低いどころかむしろ高めなぐらいで、同じ解像度のNexus7も10万強ぐらいのスコアであることを考えれば十分なスペックだといえそうだ。ただ個別の数値をチェックすると、Nexus7はスコアに占めるCPU(の処理速度)の比率が高く、M101Rは逆にGPUの比率が高いという違いがある。このあたりは注意した方がいいかも知れない。

オプション品などについて

このクラスのタブレットに高いオプション品をつけたいと思う人はあまりいないだろうが、自分の場合は使い勝手を上げるために「アンチグレアフィルム」と「レザー製カバー兼スタンド」を購入して使っている。価格は両方合わせて2千円程度。これについても少し触れておきたい。

まず身も蓋もないこと書いてしまうと、こんな無名の中華タブレットに専用のオプション品があるわけがない。これは最初からわかりきっていたので違うタブレットのものを流用できないのかと探してみたところ、AcerのICONIA TAB A200(とA700)がほぼ同じ大きさ(M101Rの方が横幅が3mmほど長い)と厚みであり、これらのオプション品が使い回せそうであることがわかった。そこで、以下のものを使えることを祈りつつ半分バクチ覚悟で注文した。

B00871X0IS【VMAX】acer タブレットPC ICONIA TAB A200専用液晶スクリーンシールド 非光沢アンチグレアタイプ
B0081FH6JY【39s】Acer ICONIA A200用スタンド機能付革ケース

まず前者の保護フィルムの方だが、こちらは何の問題もなく使用できた。前述のとおりA200とはほぼ同じサイズなので、横幅が若干(寸法どおりの3mm)短い以外は本当にピッタリだ。フィルムを右か左にギリギリまで合わせると、横幅の問題でインカメラにフィルムがかかりそうになってしまうが、そのあたりは貼り付けるときに調節すればいいだろう。

アンチグレアなので当然コントラストが落ちて若干解像度も低くなったように見えるが、代わりに画面への写り込みはほぼなくなり、指紋も目立たない。“はずれ”のアンチグレアフィルムだとギラツブが酷くなるものがあるが、それもほぼなかった。概ね“当たり”と言ってもいい品質だろう。無論「グレア」か「アンチグレア」かは好みの問題なので、グレア好きならそのまま使ったり、グレアフィルムを選べばいい。

後者のレザー製カバーは少々くせ者だった。というのもA200とこのM101Rではボタンやコネクタの配置が全然違うため、そのまま使うと使い勝手に大きな影響が出る。具体的に以下のとおり。

  • (インカメラの位置が合うように)そのままケースに入れる場合
    • 電源ボタンを除き、ほぼすべてのボタンとコネクタがカバー内に隠れてしまう。
    • 具体的には電源ボタンとヘッドフォン出力のみがそのまま使え、他は使えなくなる。
    • ボタン類はカバーの上から押すこともできるが、コネクタ類がまったく使えなくなるため、そのままではおよそ実用的とはいえなくなる。(他のコネクタはともかく、充電用のACコネクタが使えないのは致命的と言ってもいい。)
    • インカメラ用の穴は若干ずれているが、使用自体には特に問題はない。
  • 上下ひっくり返して入れる場合
    • (上とは逆に)ほぼすべてのボタンとコネクタは使えるようになるが、一番使用頻度が高い電源ボタンが隠れる。
    • (使用時はスタンド部分として機能する)“蓋”を閉めたまま充電できない。
    • インカメラは完全に使えなくなる。

また上下どっちに入れようと背面カメラとスピーカーは完全に隠れてしまうため、スピーカーはともかく背面カメラはまったく使えなくなる。またスタンドとして安定させるためかケース自体が結構重く、装着した状態で重さを量ってみたところ900gぐらいになっていた。テーブルや机において使うなら別に問題ないが、手で持つことを考えるとかなり重い。

自分の場合はどうしたかというと、(インカメラの穴が合うように)ひっくり返さずそのままケースに入れ、電源コネクタ部分だけ革ポンチで無理矢理穴を開けて使っている。「電源ボタンと充電用のコネクタだけ使えればいいや」と割り切っているからなのだが、きれいに穴をあけるのは難しいし、他の人にもおすすめできるかは微妙なところだ。もし同じケースを使う気なら、まだ上下逆に装着した方が良いだろう。

誤解を避けるために言っておくと、もちろんこれはケースが悪いわけではない。元々対応してないタブレットに無理に装着しているから問題が起きているのであって、悪いのは強引に使おうとしているこっちである。本来ならサイズがピッタリなだけ感謝するべきだろう。それに作りはしっかりしていて、2段階の高さで使えるスタンド機能の使い勝手は非常によい。卓上で使う機会が多いなら、やはりあると便利なオプション品だと感じる。

結論としてはフィルムはそつなくおすすめできるが、ケースの方は「加工に抵抗感がない」か「完全に割り切って使える」という人なら買っても損はしないレベル、という感じだろうか。「一体型ケース」ではなく「スリーブケース&スタンド」でいいなら、以下のようなアイテムの方が問題が起きなくていいだろう。(もちろん出し入れの手間は発生してしまうが。)

B00BHR8QX8iBUFFALO タブレット用 スタンド機能付き 汎用スリーブケース 10インチ ブラック BSTP01WC10BK

コストパフォーマンスの高さは文句なし。保証の有無を加味すればさらに“お得”か

導入部で書いた「M101Rはどんな人が買うべきなのか」については次のようにまとめられる。それは「安価かつコストパフォーマンスが高い10インチタブレットが欲しい人」だ。10インチを強調したのは7インチならすでにNexus7という「大鉄板」のガジェットがあるからで、単純に価格と性能(と携帯性)を考えればこちらを選ぶ必要性はない。すぐにNexus7を注文した方がいい。

そもそもこの「M101R」には突出した特徴や性能は何もない。画面解像度が高いわけではなく、最先端のハイスペックなCPU(SoC)を搭載しているわけでもなく、薄くて携帯性が高いわけでもなく、安価ではあるが「激安」というほど安いわけでもない。魅力的な宣伝文句が並ぶAppleのiPad、GoogleのNexusシリーズ、SonyのXperia Tablet Zなどとは最初から比べてはいけない。

しかし、総合的にみると性能のバランスが良く、タブレットとしてはGoogle Playが標準で利用可能なのもあって「大体何でもそつなくこなす」ことができる。一見当たり前のことだが、低価格帯のタブレットが未だにTN液晶を採用していたりするなかで、視野角が広いIPS液晶を搭載ながらこれを達成していることは特筆に値する。今は為替(円安)の関係で若干高くなりつつあるようだが、1万円台で買うことは何も難しくないだろう。

最初に書いたようにM101R自体は単なる中華タブレットだが、代理店(KEIAN)の一年保証が付いている。「安めの10インチAndroidタブレットが欲しいけど、保証もろくにない怪しい直輸入品は勘弁」という人には、より一層選ぶ価値が上がる一品といえるかもしれない。