超激安なiPhone4/4s用バッテリー付きケース「aigo i616」レビュー

Amazonのランキングをチェックしていたら、ちょっと信じられないものが目に入ってきた。良くあるiPhone4専用のバッテリー機能付きケースなのだが、驚くのはその値段。なんと送料無料で680円!。通常のケースと同じように、バッテリ機能付きケースも値段の幅はかなり広いのだが、それにしたってこの価格は安すぎる。これならハンバーガーのセットか、雑誌一冊程度だ。まあ時期から考えると、次世代iPhoneの登場を控えての在庫調整ではなかろうか。

aigo iPhone4S/4専用バッテリーケース i616aigo iPhone4S/4専用バッテリーケース i616
aigo Legacy シリーズ iPhone 4 バッテリージャケット i616(スーパーブラック)aigo Legacy シリーズ iPhone 4 バッテリージャケット i616(スーパーブラック)

「とにかくこの安さなら試さなきゃ損」ということで早速購入してみた。届いたばかりで使用テスト状況はかなり不完全なのだが、とりあえず速攻レビューという形で記事を書いてみたい。理由はテーマが「680円のバッテリー付きカバーの実態はいかに!?」なので、チンタラやってるうちに完全に売り切れてしまうとレビューの意味がなくなってしまうと懸念したため。

「aigo i616」の基本スペック

「aigo i616」はiPhone4/4s兼用のバッテリー内蔵タイプのケース。下部のDockコネクタを中心に正面部以外のすべてを覆うタイプの標準的な形になっている。バッテリー容量は1500mAhとなっており、カタログスペックでは1420mAhのiPhone4/4sを充電するのにほぼピッタリの容量だ。色はバッテリーが内蔵されている背面がメタリックグレー(公式サイトの記述では「ブラック」だが、どうみてもグレー)のノーマルタイプと、背面も真っ黒な「スーパーブラック」タイプ。ただ残念なことに、iPhoneの白モデルに対応するようなホワイトタイプは存在しない。

i616のブラックとスーパーブラックの違い
ブラックという名前とは裏腹に実際はグレー。

本体となるケース以外の付属品は、日本語を含むマルチ言語の説明書とマイクロUSBケーブルのみ。このマイクロUSBケーブルか、本体に内蔵のUSB接続端子を使ってiPhone本体とケースのバッテリーに充電を行う。(詳しくは後述。)ちなみに本体のパッケージはプラスティック製でかなりしっかりしているのだが、その反面説明書はおよそ丁寧な記述とは言い難い。「日本語(翻訳が)が変」ということはないが、本当に最低限の説明のみだ。まあどの国の言語でも書かれているのは同じ文面のようなので、これが仕様なのだろう。

若干不満の残る「充電テスト」

まず一番重要な充電の機能について。

この製品は正面から見て左側にスライドタイプのON / OFFスイッチがあり、任意のタイミングでONにすることによってiPhoneに充電を始めることができる。かなり小さいスイッチで動かすときも重く若干操作しにくいのだが、逆に不用意に切り替わってしまうことも少ないように思う。実際何度かポケットに出し入れして使ってみたのだが、勝手に切り替わる現象は確認できなかった。

チャージスイッチなどの各種ボタン
各種操作部。実は付属の取扱説明書ではこのあたりに触れられていない。

続いてテストのため、購入時にあらかじめ充電されていたケースのバッテリーを一度完全に使い切ってからフルに充電。その状態でバッテリー残量5%まで減ったiPhone4sに充電を試みた。すると80%までチャージしたところで充電停止。ケースのバッテリーチェックボタンを押すと「空」を示していたので、フル充電する前に切れてしまったようだ。以下のように公式サイトなどでは「使用時間が2倍に!」などと書かれているのだから、正直もう少し頑張って欲しいと思うのだが、どうにも肩すかしの結果となってしまった。(なお、充電中は無用な電力消費を抑えるため、無操作状態で放置している。)

バッテリー容量は1500mAh(カタログスペック値)
「使用時間が2倍に!」とのことなのだが……。

もちろん買ったばかりでバッテリーの“慣らし”が終わっておらず100%の性能が発揮できていなかったり、単に自分の買った個体の出来が悪かったという可能性も十分あるのだが、とりあえず結果として事実をお知らせしておきたい。(「速攻レビュー」なので追試をしてる時間はなかった。)ただもしこの充電可能量がこれ以上変わらないとしたら、大体バッテリ残量が20%ぐらいまで減ってきたあたりで充電を始めるのがちょうど良いということになるかもしれない。

充電時の挙動について

前述のように本体に内蔵型のフレキシブルケーブルタイプのUSBオスコネクタ、付属品としてマイクロUSBケーブルがあるので、このどちらかを使ってケースとiPhoneに充電・同期を行う。ケーブルを挿した時点でiPhoneとi616の両方に(強制的に)充電が始まるため、スイッチの切り替え等をおこなって「iPhoneにだけ充電する」「ケースにだけ充電する」ということはできない。ケースでもあるi616にiPhoneを入れている限りは両方一度に充電するしかないというわけだ。もちろん持ち出す場合は普通は両方フル充電にしておきたいはずで、別段変な挙動をというわけではない。

i616への充電時は、ケース下部にある4個の青LEDが順番に点滅して充電状態を表示する。点滅が終わって常灯になった時点で充電完了。iPhoneが接続されている場合は、iPhone側の充電が優先されるようだ。(LEDは点滅するのだが、ゲージが増えない。)正確な時間は計っていないが、ケース側の充電は「iPhoneへのフル充電よりもある程度時間がかかるかな」という程度だった。

なお付属のマイクロUSBケーブルは比較的しっかりした作りなのだが、本体に内蔵されているフレキシブルUSB端子は面白いギミックの反面、作りがかなりヤワい印象。「フレキシブルケーブルの耐久力が見るからになさそう」「長さが短い」「端子もむき出し」という点から、常用するとかなりあっさり壊れてしまいそうだ。別途ケーブルを用意しなくても充電・同期できるというのは場合よっては大きなメリットになりうるとは思うが、個人的にはおまけの域を出ないのでは……と感じた。

i616に内蔵されているUSB端子
実用性は比較的高いのだが、耐久度が心許ないギミック。

ケースとしての作りはぼちぼち

i616をケースそのものとしてみると、作り自体はそこまで悪くはない。寸法がピッタリでiPhoneはきっちりはまって外れないし、パッと見る限りそんなに安っぽく見えないのもメリットだろう。ただ黒の光沢部分は指紋が目立ちやすく、傷も付きやすい。ハードな使い方だとあっさりボロくなってしまうかもしれない。

しかしそれより問題なのは、やはりバッテリー内蔵故の“サイズ”だろう。左右と上は実測で3mm程度だが、下はコネクタとLEDがあるため1cm弱は大きくなる。厚さに至っては2倍とは言わないが、大体1.5倍から1.8倍程度になってしまう。正直iPhoneを持ってるというより、何か別の端末を使用・携帯しているような感じだ。もちろんこれはバッテリー内蔵型のケースでは物理的にしょうがないことで、別にこのi616に限らない。ただiPhone4/4sの小ささや薄さに惚れ込んでいたり、慣れている人にとってはやはり厳しいかも知れない。またケース上部の厚みの問題から、若干スリープボタン(上のボタン)が押しにくく感じる場面があった。

aigo iPhone4S/4専用バッテリーケース i616
取り付けると当然のことながらかなり「分厚く」なってしまう。

重量は公式サイトや説明書から記述が見つけられなかったのだが、実測で71g、取り外せる上部パーツを除くと66gだった。iPhone4sの重量が140gなので、装着すると大体1.5倍程度の重さになる。ただ個人的にはサイズに関しての違和感はあったが、重量に対してはあまり感じなかったことを付記しておきたい。

なんと音が……意外な落とし穴

このi616は充電用にDockコネクタとケースを接続する必要があるのため、前述のようにiPhoneの下部は全部ケースに覆われてしまう。当然そのままだとコネクタのすぐ横のスピーカ部をふさいでしまうから、その部分だけ手前に穴が開いた作りになっている。

この穴によって音自体は問題なく出てくるのだが、困ったことに、良くいえば「音に変化が発生する」し、悪くいえば「音が悪くなって」出力されるようになってしまう。どうも狭い穴で音が反射するせいなのか、全体的に歪んでこもったような感じになってしまうのだ。元々iPhone付属のスピーカはサイズゆえにそこまで高音質とはいえないのだが、輪をかけて微妙な状態になる。

もちろんiPhoneで音楽などを聞く場合は通常イヤフォンなどを使うだろうから、実質的には呼び出し音や通知音程度しか影響を受けないだろう。そういった意味では大した問題ではないと思うが、いちおう気になった点として書いておきたい。

良くも悪くも「普通」のバッテリー内蔵型ケース。ただ「超お買い得」なのは間違いない

見出しに書いたように、「aigo i616」は良くも悪くも「普通」「平均的」と言えるバッテリー内蔵ケースだ。めぼしい特徴してはフレキシブルUSB端子が内蔵されている程度で、取り立てて小さかったりバッテリー容量が大きかったりはしない。(それどころかテストではフル充電できなかった。)単に商品として見ると「これだからあえて(他人に)おすすめしたい!」と感じる部分が、残念ながら乏しい。定価は7980円らしいが、工作精度も含めてその価値があるかと考えると首をかしげざるを得ない。

とはいえそんなマイナスポイントは、680円というありえない価格においてはすべて帳消しにされる。なんせ少し高めの雑誌1冊程度なのだから、小学生でも手が伸ばせる程度の価格だ。そもそも「大きい」「厚くなる」というようなマイナスポイントの多くは、バッテリー機能付きのケースなら避けられないところ。繰り返すが別段このi616に限った話ではない。装着感のない薄いケースを使って、かつバッテリーの心配もしなくないなら、普通は予備電源やバッテリー(例:こういうもの)を別に用意するのがベターだ。

そういった点を考慮して、この「aigo i616」はこの価格なら「バッテリー内蔵型ケースが欲しい・試してみたい」というほぼすべての人に文句なく勧められる商品と思う。バッテリーが切れそうになっても、ボタンをスライドするだけでそのまま使い続けられる安心感と手軽さは、裸や単なるケースのみで使用している状況では味わえないものだ。個人的には680円でなくても2000円以下程度なら十分に元が取れる商品のではないかと感じた。まあ在庫がどれほどあるのかわからないが、気になるなら売り切れる前に早めに注文しておくことをオススメしたい。