CDやDVDなどの光学メディアは、HDDなどに比べて転送速度が非常に遅いというのは多くの人が知っている話。これは通常のファイルコピーなどでも遅いのだけど、より条件の悪い「数byteから数十kbyteぐらいのファイルが大量にある」という状態だと、まともに付き合っていられないほど時間がかかってしまう。この速度低下はHDDなどでも基本的には変わらないが、光学メディアは元の速度が極端に遅いだけあって影響もさらに大きい。先日昔のファイルが必要になってDVDから大量のファイルをコピーしようとしたら、終了するのに10時間以上かかると表示されてさすがに困ってしまった。
もちろんこれは事前にファイルをアーカイブ化(圧縮)して数を減らしておくべきなんだけれど、今すでに存在するディスクはどうしようもない。また、根本的に圧縮等ができないという場合もあるかも知れない。と言うわけで、そのような「小さいファイルが大量に入った光学メディア」から高速にファイルをコピーする方法の一つを書いておきたい。
光学メディアをイメージ化して「大量のファイルを読み込む」のを阻止する
簡単に言えば「遅い光学メディアから大量のファイルを読み込む」のが時間がかかる原因なので、いったん仮想ディスクにしてHDDに入れてしまえばよい。このとき光学ドライブは「ディスクイメージという大きな1個のファイル」としてメディアを読み込むので、ほぼ読み取りスペックどおりの速度が出る場合が多い。もちろんこれで光学ドライブがHDDより早くなったりするわけではないけど、速度としては劇的に早くなる。先ほどの例だと10時間以上から10分以下に変わった。
ディスクごとイメージ化したあとはそのディスクを仮想ドライブソフトでマウントし、必要なファイルをそのまま読み取るなりコピーするなりする。小さいファイルを読み取る関係上ここは通常のHDD転送速度に比べてかなり遅くなるが、それでもDVDやCDからダイレクトに光学ドライブで読み込むより桁違いに速い。
ただし、以下のような問題が別途存在する。例えば自由にソフトを入れることが許されない環境の場合は、恐らく実行することができないので注意のほどを。
- 光学ディスクのイメージ化とマウントが可能なソフトが必要
- メディア内のデータ量と同じだけのHDD空き容量が必要
- DVD・CDからHDDにイメージ化した後、さらにHDDへもう一回コピーする必要がある
用意するソフト
今回は以下のソフトを利用した。目的が達成できるならどのソフトでもいいので、すでに使っているものがあるならそちらにしてほしい。
このDAEMON Toolsや同等の機能のソフトを使っていない場合のみソフトをインストールして、以下の手順に進む。
1. ファイルが入ったディスクをイメージ化する
ファイルが入ったディスクをそのままイメージ化して、HDDに取り込んでしまう。モードやファイル形式は仮想ドライブで読み込めれば何でもいい。
日本語化されたDAEMON Tools Liteなら以下の手順で簡単に作成できる。
- DAEMON Toolsを起動。
- 右下のアイコンをクリックし、「ディスクイメージを作成」を選択。
- 「デバイス」でディスクが入ったドライブを選択。
- 「目的イメージファイル」でイメージを作りたい場所を選択。既定の保存場所は若干わかりにくいので注意。なおデフォルトのファイルタイプは「.mdx」とあまり一般的ではないものになっているので、気にする場合は「.iso」などに変えておく。
- 「開始」ボタンを押す。
2. 完成したイメージファイルをマウントして読み込む
完成したディスクイメージを仮想ドライブにマウントして、ファイルがちゃんと読み取れているかチェックする。特に変なことをしていなければ、ディスク内にあったファイルは全部存在するはず。
DAEMON Toolsの場合は以下のようにする。
- 右下のアイコンをクリックし、「仮想デバイス」 → マウントしたい仮想デバイス選択 → 「イメージのマウント」を選択。
- 先ほどイメージ化したファイルを選択すると自動的に読み込まれる。
3. 必要なファイルをコピーする
仮想ドライブから必要なファイルをコピーする。量によってはそれでも時間がかかるかも知れないが、DVDなどから読むよりずっとましなはず。複数のHDDやRAMドライブなどがある場合は、イメージファイルを作るドライブとコピー先ドライブを別にしておくとさらに速く終了することが可能。
最後に
今回は色々事情があったのでこのような方法をとったものの、使用頻度が高いファイルならそのままHDDに入れておいた方がずっと便利だと思われる。また、もし光学メディアに書き込む場合でも、前述のように最初からアーカイブ化して大きなサイズの数が少ないファイル構成にしておけばこんな面倒なことをしなくてすむ。自分でディスクを焼く場合はこのあたりに気をつけておくのをおすすめしたい。
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