Vista&7のサポート期限が5年延長に、新たなWindowsサポート状況まとめ

2012年10月26日にWindows 8が発売されたので、それに合わせて最新のサポート状況を記事にしました。Windows 8のサポート期間をチェックしたい方は以下のリンク先の記事を参照してください。

各種ニュースサイトの報道、あるいは公式の発表などですでにご存じの方も多いとは思うが、Microsoftは2012年2月20日にWindowsのサポートライフサイクルの変更を発表した。これにより2012年4月10日にサポート終了を迎えるはずだったWindows VistaのHome Premium・Home Basic・Ultimateはサポート期限が5年間延長(正確には延長サポート対象製品に)され、2017年4月11日までとなることが確定した。また同時に、Windows 7のHome Premium・Ultimateなども5年のサポート期間延長が発表されている。

家庭向けVistaのサポート終了まで2カ月を切った時点のまさに「土壇場」での発表となったわけだが、取り急ぎこのブログでも現時点での最新の各Windowsのサポート状態(期限)をまとめてみたい。対象は現行のXP、Vista、7に加え、最近安価なDSP版で人気が出てきている「Windows Home Server」も含めている。

なおこれはあくまで記事の投稿時点(2012年2月21日)での情報であり、各OSのサポート期間は(今回の発表のように)Microsoftの事業戦略や市場の動向により変更される可能性があることに注意してほしい。最新かつ確実な情報は以下のMicrosoft公式サイトを参照していただきたい。

Windows 7のサポート期間

メインストリームサポートの終了期限

2015年1月13日

延長サポートの終了期限

2020年1月14日

サポートライフサイクルの変更前のWindows 7サポート状況(旧基準)

サポート期限エディション名サポート区分
2015年1月13日Windows 7 Ultimate
Windows 7 Home Premium
Windows 7 Home Basic
Windows 7 Starter
メインストリームサポート(最短5年)のみ
2020年1月14日Windows 7 Enterprise
Windows 7 Professional
メインストリームサポート(最短5年)
+延長サポート(最短5年)

サポートライフサイクルの変更後のWindows 7サポート状況(新基準)

サポート期限エディション名サポート区分
2020年1月14日Windows 7 Enterprise
Windows 7 Professional
Windows 7 Ultimate
Windows 7 Home Premium
Windows 7 Home Basic
Windows 7 Starter
メインストリームサポート(最短5年)
+延長サポート(最短5年)

参考

Windows Vistaのサポート期間

メインストリームサポートの終了期限

2012年4月10日

延長サポートの終了期限

2017年4月11日

サポートライフサイクルの変更前のWindows Vistaサポート状況(旧基準)

サポート期限エディション名サポート区分
2012年4月10日Windows Vista Ultimate
Windows Vista Home Premium
Windows Vista Home Basic
Windows Vista Starter
メインストリームサポート(最短5年)のみ
2017年4月11日Windows Vista Enterprise
Windows Vista Business
メインストリームサポート(最短5年)
+延長サポート(最短5年)

サポートライフサイクルの変更後のWindows Vistaサポート状況(新基準)

サポート期限エディション名サポート区分
2017年4月11日Windows Vista Enterprise
Windows Vista Business
Windows Vista Ultimate
Windows Vista Home Premium
Windows Vista Home Basic
Windows Vista Starter
メインストリームサポート(最短5年)
+延長サポート(最短5年)

余談になるが、Vista Ultimateは5年短縮→5年延長とサポート期間が何度も変更されている珍しいエディションになっている。

参考

Windows XPのサポート期間

メインストリームサポートの終了期限

2009年4月14日(すでに終了済み)

延長サポートの終了期限

2014年4月8日

Windows XPのサポート状況

Windows XPは以前からHomeとProfessionalのサポート期間が同一に変更されていたため、今回の発表の影響は受けておらず変更もなし。したがって以前のものをそのまま掲載している。

サポート期限エディション名サポート区分
2014年4月8日Windows XP Home Edition
Windows XP Professional
Windows XP Professional x64 Edition
Windows XP Media Center Edition
メインストリームサポート(最短5年)
+延長サポート(最短5年)

参考

Windows Home Serverのサポート期間

サポート期限エディション名サポート区分
2013年1月8日Windows Home Serverメインストリームサポート(最短5年)のみ
2016年4月12日Windows Home Server 2011メインストリームサポート(最短5年)のみ

「Windows Home Server」は「Windows Home Server 2011」ともに今回のサポートライフサイクルの変更対象に(少なくとも現時点では)入っておらず、延長サポートが受けられないエディションであることが公式サイトの情報からわかる。結果としてサポート期間は今までどおり最短5年と、変更された他の家庭向けWindowsに比べ短くなってしまっている。

参考

サポート期間順一覧

2020年1月14日までサポート

  • Windows 7 Enterprise
  • Windows 7 Professional
  • Windows 7 Ultimate
  • Windows 7 Home Premium
  • Windows 7 Home Basic
  • Windows 7 Starter

2017年4月11日までサポート

  • Windows Vista Enterprise
  • Windows Vista Business
  • Windows Vista Ultimate
  • Windows Vista Home Premium
  • Windows Vista Home Basic
  • Windows Vista Starter

2016年4月12日までサポート

  • Windows Home Server 2011

2014年4月8日までサポート

  • Windows XP Professional
  • Windows XP Professional x64 Edition
  • Windows XP Home Edition
  • Windows XP Media Center Edition

2013年1月8日までサポート

  • Windows Home Server

サポートライフサイクルの各フェーズについて

現行のWindowsのサポート期間は大きく「メインストリームサポート」と「延長サポート」に分かれている。大まかな違いとして「メインストリームサポート」はセキュリティ更新はもちろんのこと、OSの仕様変更、新機能や新たなアプリケーションの追加(IEやWMPなど)、マイクロソフトによる無償のサポートなどが受けられる通常のサポート期間で、「延長サポート」は(一般ユーザには)基本的にセキュリティ更新のみが受けられる期間になっている。(より詳細な情報は以下の公式ページを参照。)

そして今回のサポート期間の変更は、本来「メインストリームサポート」のみだった家庭向け(Home・Ultimate系)のWindows 7とVistaに、この「延長サポート」が適用されるようになった。これが「5年のサポート期間延長」の仕組みということになる。これはかつてサポート期間が延長されたWindows XP Home Editionとまったく同じ対応と言える。

サポート ライフサイクルのフェーズ
マイクロソフト公式サイトから引用したサポートライフサイクルの表。(表現が若干わかりにくいが)各フェーズでどのサポートがおこなわれるのかわかる。

「延長サポート期間」に入ると(最新のデバイスに対応するなどの)大きな変化はすでにそのOSに望めないが、セキュリティ更新パッチは提供されるので「安全」に使い続けることはできる。しかし延長サポートも終了すると、そのセキュリティ更新すらなくなるため、アップグレード等を検討せざるをえない状態になってしまう。オンライン・常時接続が当たり前となっている昨今では、ハードウェアがどうであれ(完全なスタンドアロンで使う環境でもない限り)サポート期間の終了が実質的な寿命と言える事態にますますなってきている。

つまり今回の件でさしあたってのセキュリティ的な危機は去ったが、VistaなりXPなりを使っている人は、いずれいつかの段階でWindows 7などの後継OS乗り換える必要性があると言えるだろう。

参考

今回の発表でサポート期間はどう変わったか

まず一番変わったこととして「同一OSなのにエディションによってサポート期間が異なる」という現象がなくなったことがあげられる。以前のライフサイクルポリシーは「家庭・一般向け製品は最短5年のサポート。企業・ビジネス向け製品は最短10年のサポート」となっていて、「長く使いたいならProfessionalやBusinessを選んだ方が有利」という現象が存在していた。今度の変更でそれがなくなり、単純に機能や価格でWindowsのエディションを選べるようになった。(あるいはサポート期限の点から、どのエディションがPCにプリインストールされているのか気にする必要性がなくなった。)

またそれと同時に「発売が後の(家庭用)Windows Vistaの方がXPより短命」という逆転現象も改善され、XPにダウングレードする(入れ直す)とサポート期間が延びるという不自然な事態も起きなくなっている。現実的にプリインストールがVistaのマシンにXPを入れたときに「ユーザの想定どおり」に動くかどうかはかなり怪しく、ネットなどに「うまく動かなくなりました!」などの質問が飛び交う事態にならなかったのは良かったのではなかろうか。

単純にサポート期間だけ見れば、多くのWindows 7・Vistaに延長サポートが適用されることにより製品寿命が5年延びて、現行のほとんどのWindowsは「10年戦えるOS」になった。すでに発売から10年経ち、さらに2014年までサポートされるXPに比べればインパクトは小さいかもしれないが、それでも(十分かはともかく)それなりに長い期間であるのは間違いないだろう。これから発売される「Windows 8」でもこのサポート方針が続くのかはわからないが、少なくとも「急いで乗り換える」必要性がなくなったのは多くの人にとって朗報になったのではないかと思う。