液晶TVやモニタの上の空間を活用せよ! サンコー「L-BOARD2」レビュー

液晶テレビや薄型モニタの上に物を置ける台を作れる!という売り文句のサンコー「L-BOARD2」を買ってみた。

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ご存じのとおり、かつてはほとんどのディスプレイが分厚いブラウン管を採用していた。当然デカくて重くてかさばる代物だったが、その上が台や棚のように使えるメリットがあった。そこに色々と小物を置いていた人は多かったと思うし、自分もその一人に含まれる。だが、現在はPC用のモニタにしろTVにせよ薄型タイプになっていて、上に物を置くのは不可能に近い。ほとんどの場合、ただただ上に何もない空間が広がるのみである。

この問題を解決できる「棚」は現在でも何種類か発売されているが、その中のひとつがこの「L-BOARD2」になる。この商品はネットでも比較的評判が良く、買って試してみることにした。

「センタースピーカーを置く場所がない!」という話

そもそもこれを欲しいと思ったのは、ブラウン管のころはテレビの上に置けていた5.1ch サウンドシステム(ホームシアターセット)のセンタースピーカーの設置場所がなくなってしまったからだ。単にテレビ(画面)の下におけばいいと思うかもしれないが、多くのテレビはここにリモコンの受光部分を備えているため、スピーカーを置くとそのまま隠れてしまい都合が悪い。また、純粋に画面の一部が隠れて見えにくくなってしまうことがある。下にスピーカーを置けるスペースがきちんとある場合は別だが、そうでないならTVの使い勝手がどうにも悪くなってしまう。

あとは残っているのは「横」と「上」だが、そもそも“センター”スピーカーなのだからもちろん「横」は却下である。となると“上”しか残ってない……というわけで、この商品の出番となったというわけだ。実際にL-BOARD2はセンタースピーカー(やその他諸々の小物)を置く場所として役に立つのか、チェックしてみたい。

なお、前述のとおりに今回のレビューは「(画面が大きめの)液晶TV」に設置した場合の話になる。PCモニタに設置したときと若干事情が異なるかもしれない点は、注意していただきたい。

内容物と固定構造

値段が値段だけに(自分がAmazonで買ったときは1700円ちょっと)構造や中身は非常にシンプル。Amazonのレビューにも書かれているように、本体となるボード、後ろで固定するためのアーム、アームの角度を固定するためのネジ、あとはおまけのクリップだけ。全体がほぼプラスチックのため、重量も非常に軽い。

台となるメインのボードは横が43cm・縦が13cm弱と、ティッシュの箱を横に2個置くと少しはみ出るぐらいのサイズ。形状は横から見て“─┐”というフック状になっていて、モニタ上部の縁に引っかけて位置を固定する。するとボードそのものが自重で後ろに倒れ込むので、あとは付属のアームが「つっかえ棒」の役割を果たし落下を防ぐ、というのが棚自体の仕組みだ。

本体(のアーム)はモニタ裏にあるVESA規格のネジ穴へネジ止め固定できるようになっているが、ネジそのものは付属はしていない。もしこれを使いたいなら、別途ネジや別の固定道具を用意する必要がある。ただ基本的にはネジは使わず、前述のつっかえ棒方式で使うことを想定していると思われる。その理由は公式サイトや説明書を兼ねている箱には、固定云々の話は一切書かれていないし、そもそも最初から「ネジ、ドライバー不要」をうたっているだ。

L-BOARD2の固定方法
L-BOARD2の固定方法。基本はネジを使わずフックのように引っかけて自重で固定する。(公式サイトより。)

この方式、「固定が不要でラク」という以外にもメリットがある。それはモニタ/TV側のネジ穴がアームに合わなかったり、届かなかったりしても普通に使えることだ。自分の場合は前述のとおりにこの商品を液晶モニタではなく液晶TVに設置しているものの、TVのサイズの問題(30インチオーバー)でまずアームそのものがネジ穴に届かないし、ネジ穴自体も合わない。しかしこの引っかけ構造のおかげで、届かなくても問題なく使用できている。ネジでの固定を前提としないことで、使用できる画面サイズの制限が事実上撤廃されているともいえるかもしれない。

一見してサイズの関係から「液晶モニタ専用」と考えがちなのだが、実際は大型TVでも使えるフリーサイズの商品ということになりそうだ。

安定性とアームの固定

このL-BOARD2の“引っかけ式”、メリットだけではなくてデメリットもある。さっきの話の裏返しなってしまうのだが、アームが固定されてないので、安定性に不安が残ってしまう点だ。つっかえ棒としてのアームには滑り止め程度に小さいゴムが二カ所付いてるだけで、見るからに貧弱。安っぽいのは実際に安いんだからしょうがないとしても、重い物をそのまま載せるのは勇気がいるというか、正直無謀に見える。

自分の場合はセンタースピーカーを載せたものの、こいつの重さは約1.7kg。箱を見ても制限重量は書かれていないし、公式サイトにも“携帯電話やティッシュボックス”と記述されていて、重い物を載せるように出来ているようにはまったく見えない。上記のような軽い物をだけを載せるなら別として、もしある程度重量がある物を置く、あるいは安定性が気になるなら以下のような対策をした方がいい。

画面サイズが小さくてアームがネジ穴に届く → ネジ止め

アーム自体にネジ穴が開いている関係上、止められるならネジを使うのが一番楽で確実。必要なのはサイズ「M4」のネジ2本(ホームセンターで数百円 or 家にあればタダ)とプラスドライバーのみ。

画面サイズの問題などでネジ穴が使えない → 両面テープ

(大きめの)TVに設置するためネジ穴に届かない、あるいは何らかの理由でネジ止めしたくないという場合は両面テープを使うのが手っ取り早い。これもホームセンターか文房具屋などで数百円から売っている。

おすすめはどこでも売っている薄いのではなくて、内部にスポンジが挟まれているような厚手のもの。アームを含めTVにしても裏が真っ平らではなくでこぼこしている場合があるので、そういう場所でも気にせず貼り付けられるタイプだとより安定感が増していい感じになる。

自分の場合は前述のとおりにネジ止めが物理的にできなかったので、両面テープで固定した。テープはたまたま家にあった厚手強力タイプのこれを使用。スピーカーを載せた上でもしっかり固定することができて、台を押すとテレビの方が傾くぐらいなので、見ている限りは問題なさそうだ。

場合によってはバランスが悪くなる可能性も

しばらく使ってみて、モニタの上にそれなりの重さの物を置くと、トップヘビーになってモニタ自体の安定性に若干問題が出そうなのが気になった。特に大型TVなどだと高さ自体が結構あるため、地震が起こったときを考えるとちょっと恐い。また、TVに限らず最近のPCモニタはコストダウンで画面を支える台の部分が弱い場合があるので、より振動に弱くなる可能性もある。

TVやモニタの地震対策も含めて、いちおうこのあたりは頭の隅に入れて置いた方がいいかもしれない。

単体でも満足度はそこそこ高い。別途固定すれば安定性にも文句なし

「PCモニタ/TVの上に物を置きたい」というとき、このL-BOARD2は(よほど大きい物を載せたいのではない限りは)過不足なく目的を達成できる商品だと思う。ネジ止めはオプションと割り切った作りのためモニタサイズに関係なく大型TVでも使用できるし、気になるなら一手間かけて固定すればいいという自由度の高さも嬉しいところだ。

本体自体は言われるように安っぽいが、実際に高い商品ではないのだからそのあたりは割り切りが必要だろう。とにかくコストパフォーマンス重視でモニタの上に棚を作りたいなら、十分におすすめできる商品だと言える。