オンボードサウンド(M/B)にS/PDIF端子がなかったので、「光端子(S/PDIF)からサウンドをデジタル出力をしたい」という理由でC-Mediaチップ搭載のサウンドカードを以前購入した。今までは「アンプ側がPCMしか受け付けない」「ドライバの設定が見あたらない」という理由からAC3(ドルビーデジタル)やDTSのパススルー(ビットストリーム出力)には興味なかったんだけれども、アンプの交換によってAC3やDTS、AACがデコードできるようになった。
「PCM」以外は入力ループバックしかないドライバ設定
「せっかくだからサラウンド音声をパススルーをして5.1chで楽しみたい」と思って方法を探したところ、ドライバ設定が「PCM」しか選べなくても、OS側とffdshowの設定変更でパススルーを結構簡単に実現することができた。設定自体はあまり難しくないけど、場所と仕組みが少々わかりにくかったのでその方法を書いておきたい。
Windows 7(OS)の設定
まず初期状態で画面右下にあるはずのタスクバーのサウンドアイコン右クリックし、「サウンド(S)」を選ぶ。次にサウンドカードやM/Bにデジタル音声出力があるならば、最初に開く「再生」タブに「デジタル出力」があるのでそれを選んでプロパティをクリック。
「サポートされている形式」というタブがあるので選択して、アンプ側が対応している形式にマークを付ける。恐らく多くの機器で対応してるのは「Dolby Digital(AC3)」と「DTS Audio」で、「WMA Pro」に対応してることはまずないと思うけど、とりあえず右側の「テスト」ボタンで試してみるのが手っ取り早い。これでS/PDIFから指定されたビットストリームがテスト音声として流れるので、パススルーと同じ状態を再現することができる。音が流れればPC(サウンドデバイス)とアンプの両方が対応している証拠。もし流れなかった場合はPCとアンプのどちらか、あるいは両方が対応してないということになる。
とりあえずここだけでWindows側の設定は終了するので、続いてffdshowの設定にうつる。
ちなみに再生ソフトにWindows Media Player 12を使った場合は、後述のffdshowをどう設定しようと、この部分の設定を変えただけでパススルー出力された。どうもWMP12はWindows標準のコーデックを優先的に使う設定になっていて、ffdshowの影響を受けないようだ。(逆に言えばWMP12のみを使うつもりなら、これ以上何かの設定をいじる必要はないため、続きを読む必要もない。)
ffdshowの設定
Windowsの設定が終わったので、次はffdshowで音声が処理される場合に適切にパススルーされる設定にする。
まず「スタート」のショートカットなどからffdshowのオーディオデコーダーの設定を起動し、「出力」タブを開く。アンプが対応している方式がわかるならそれを選び、よくわからないならさっきのWindows 7側の設定で音を鳴ったものにチェックマークを付ければいい。古い機種ならDolby DigitalとDTSで、比較的新しい機種ならDolby TrueHDなどにも対応しているはず。
また初期状態ではONになっていると思うので恐らく問題ないとは思うが、ffdshowでAC3やDTSのデコーダーを使わないようになっているとうまく動かないので、再生時に正常にパススルーされない場合は「コーデック」部分も念のためチェックしておくと良い。
AC3やDTSのデコードをffdshowでおこなうようになっているか調べておく
マルチチャンネルAACの場合
近年は映画の予告編などで、H.264 + マルチチャンネル(5.1ch)AACがMP4のコンテナを利用して提供されている場合がある。また、一部のデジタル放送は音声部分で5.1ch AACが使われている。
デジタル放送にAACが使われたおかげで、ホームシアターのアンプなどは結構古いものでもAACに対応している場合が多いんだけど、残念ながらPCやサウンドカード側の対応は進んでいるとは言い難い模様。(PC側のソフトやハードの問題でAACをパススルーできない。)しかしこれはffdshowの機能で、「AACをAC3にリアルタイムで変換 → AC3としてパススルー出力」ということが可能になっている。
ffdshowのAC3(S/PDIFエンコードモード)でAACを変換できる
設定部分としては上記の「AC3(S/PDIFエンコードモード)」をONにするだけ。下の「5.1チャンネルのみをエンコードする」は、2chステレオなどのAACファイル(例えば音楽ファイルなど)をAC3に変換したくないときに使う。もちろんこの場合は2ch AACの動画ファイルもAC3に変換されないが、そもそもこの機能はマルチチャンネル出力をするために使用するのが一般的なはずなので、普通はONで使って無駄なAC3への変換はしない方がいいと思われる。理由は2chならそのままデコード済みのPCMをアンプに送ることができるので、AC3に変換する必要性がないため。
ボリュームの注意点
パススルーは音声をビットストリーム(ファイルそのもの)でアンプに出力する関係上、基本的に再生するソフトやWindows側ではボリューム調整ができなくなる。試した限りはパススルーに切り替えた瞬間にかなりボリュームが大きくなることが目立ったので、急な大音量には気をつけた方がいいかもしれない。
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