去年の7月頭、サブマシンとして長期間使用していた自作PCがお亡くなりになってしまった。
システムとしてはCPUがPentium 4(しかもNorthwood)、メモリ 1GB、ビデオカードがGeforce 4とまさに時代後れもいいところのマシンだったが、サブマシンのしての使い勝手は上々でなかなかシステム更新に踏み切れなかった。その理由としては
- ケースがミドルタワーでHDDやカード類の増設スペースに困らなかったこと
- 内蔵LANがギガビットイーサで転送速度もそれなりに確保できたので、簡易ファイルサーバ兼ネットマシンのように使えたこと
辺りがある。Web巡回程度ならPentium 4にメモリ1GBという(今から見れば)かなりの低スペックでもさしたる問題はなかったし(せいぜい一部の重いFlashやHD動画の再生がままならないぐらい)、VGAファンがかなり前に壊れて空冷ファンを増設した以外は、故障らしい故障もあまりない安定したマシンだったのも大きい。
もちろん重い作業をするには全くの力不足だったので、用途に応じてCore 2 Duo搭載のメインマシンと使い分けていたのだが、こっちはケースがミニタワータイプなのでどうしても拡張性に乏しいという弱点があった。ベイやスロット自体はあるのでスペースをやりくりすればなんとか増設自体は可能なのだが、結果としてクーリングが相当悪くなるのはどうしようもないところ。そこで「HDDなどはミドルタワーで余裕があるサブマシンに増設して、LAN経由でアクセスする」という運用システムになっていったのだが、これが予想以上に上手くいっていた。
ところが上記の通り夏本番直前にシステムが急激に不安定になり、OSが頻繁にフリーズして全く使い物にならない状態になってしまった。HDDのチェックとOSのクリーンインストールをしても同じ症状が続いたため、原因はハードウェアの問題と判断。調べてみるとM/Bとビデオカードの両方のコンデンサが膨張や液漏れしており、完全に寿命であることが判明した。まあ実際の起動時間は相当長かったはずで、恐らく「良く持った方だ」と考えても問題ないだろう。
というわけで否が応でもシステム更新となったわけだが、何せ突発的に起こった故障なので潤沢な予算など用意できる状態ではなかった。また、そもそもPentium 4で済んでいたシステムなのだから高いコストをかけるのも無駄だと判断し、新しい構成は「なるべく安いところを狙いつつ、完成直後と事後のアップグレード時に後悔しないマシンを組む(正確にはリプレースする)」という方向で進めることにした。時期的にはかなり中途半端で「もう少し待てばLGA 1156のCore iシリーズが出る」という状態だったが、システムが壊れたままだと困る状態だったので待っている余裕はないのだった。
時期としてはかなり前の話になってしまうが、それから9ヶ月程度使用しつつアップグレードしても「後悔」することはなかったので、目的は十分に達成できたと思う。というわけで、自分の体験を元にして「予算を少なく抑えても後悔しないマシンは組めるのか?」ひいては「自作はまだ安いのか?」(とおまけに当時選んだパーツのレビュー)を考えてみたい。
オンボロPentium 4システムから使い回せるパーツを考える
壊れたのは相当古いシステムとはいえ、一応はリプレース。パーツもなるべく使い回して予算を抑えたいところ。というわけで使えそうなものをより分けてみたものの、やはりメインパーツと呼べるものはほとんど残っていない状態だった。
- ケース - 普通のスチール製ATXミドルタワーケース。買ってからかなり経つものの、電源以外(後述)は特に何の問題もなし。
- 光学ドライブ - 一般的なDVDマルチドライブで数年前に買い換えたもの。一台はPATAだが(今時のM/BにもPATAコネクタが付いているので)普通に使える。
- HDD - 簡易ファイルサーバ用途としてのファイル置き場に使っていたもの。比較的最近のSATA接続タイプなので、一台はパーティションを切ってシステムドライブに回すことに。
- サウンドカード - かなり昔にオンボードサウンドを嫌って増設。今となってはあまり必要性も感じないが、PCI接続なのでまあ使える。
- OS - DSP(OEM)版のWindows XP。サポート期間はまだ十分に残っているし、安くあげたいのだから特別な理由がない限りOSを買い換える必要はない。(それにこの時はまだWindows 7も出ていなかった。)
- FDD - ほとんど使わないがあっても邪魔にはならないし、上のXPをインストールするときにF8ボタンを押してドライバを入れるときに使う。
ここまでが使い回せそうなパーツ。逆に言えば、これ以外の残りすべては買い直す必要があるということに。
- M/B - 壊れた。
- ビデオカード - 壊れたし、そもそもAGPなので使い回せない。
- CPU - 壊れてはいないようだが、すでにソケットの形が違う。
- メモリ - 壊れてはいないようだが、DDR1なので使い回せない。
- 電源 - とりあえず動いてはいるものの、記憶が定かなら買ったのは確か前世紀。(使わずに死蔵していた期間も長いが。)300W強という容量と、使用期間を考えれば明らかに買い換えるべきパーツ。
要するにストレージ系を除き、ほぼすべて総取っ替えせざるを得ないのがわかった。とはいえ「光学ドライブ + HDD + OS + ケース」はそのまま使えるわけだから、金額にして最低でも2.5~3.5万円程度は浮くということになる。システム更新に金をかけたくない場合、これはなかなか見逃せない差額になるはず。
長く使えるPCケースは慎重に選びたい
一般的なリプレース環境で考えると、やはり長期間使い回せるパーツのトップはケースということになるだろう。付属の冷却ファンは故障することがあるものの、ケース自体は作りさえしっかりしていれば壊れることはまずないし、規格もずっとATXのままだ。(IntelのCPUアーキテクチャがNetBurstだった時代、Intelは自らBTXというATXと互換性のない規格を提唱したが、その後アーキテクチャが変わり発熱量がぐっと落ちたCoreシリーズが登場するとこれは「なかったこと」にされてしまった。現在では対応CPU、M/Bともほぼ存在しない。)
さらにケースは交換するとなると中身を丸ごと引っ越ししないといけない関係上「交換しづらい」(正確には面倒くさい)し、(ミドルタワーの場合)サイズと廃棄区分の関係で「捨てづらい」し、さらに「保管するにはかさばりすぎる」という特徴があるので、多少予算を上積みしてでも満足できるものを買いたいところ。使い勝手や質感の確認などネットでの商品チェックには限界があるかもしれないので、機会があれば直接パーツショップなどで見て回った方がいいかもしれない。
「安価に組む=格安パーツを選ぶ」と決めつけない方が良い
PCパーツの価格設定はある意味非常にわかりやすい。同一プラットフォームの場合、基本的に性能と価格は相関関係にある。平たく言ってしまえば、「性能が高いほど値段が高く、性能が低いほど値段が安い」ということ。(もちろん例外もある。)「少ない予算で超高性能マシンを作ることはできない」というのは、まあ誰でもわかるはず。
とはいえここで気をつけたいのは、(値段が高いほど高性能ではあるが)「別に性能と価格が比例しているわけではない」というところ。例としてあげるなら「10万円のCPUが5万円のCPUの2倍の性能を持っている」わけではないし、逆に「2.5万円のCPUが5万円のCPUの半分の性能しかない」というわけでもない。ミドルレンジの製品が「バランスがとれている」と仮定すると、最上位になるようなウルトラハイエンドは「性能の割に(下位モデルと比べると)値段が高すぎる」し、最下位のローエンドは「性能の割に(少し上位のモデルと比べると)値下がり幅が狭い」というのは非常に良く見かける光景。つまり値段と性能のバランスが悪いということになる。
これを今回の「なるべく安く組みたいが、後悔はしたくない」というポイントで考えると、「とにかく安いモデルやパーツを選べばいいとはいえない」というところに落ち着く。もちろん予算の関係上ミドルレンジより下が主戦場になるのは間違いないが、最安値・最下位のパーツを選んで「あと○○円足せば××できたのに……」みたいな状態はなるべく避けたい、というところはわかってもらえるはず。不満を感じて買い直してしまっては、結局高く付いてしまう。
現行のトレンドを意識しつつ、初期予算を抑えたい
これまで書いたことを意識した結果、予算は3万円までとし、以下のような方向性で進めることにした。
リプレース前がIntelだったので、引き続きプラットフォームはIntel。用途はそのままネットマシン兼ファイル置き場で、重い3Dゲームをプレイするようなことは(少なくともこの時点では)一切考えない。ケースの拡張性は十分なわけで、必要なものは必要な時点で買って増設すればよい、という自作らしい割り切った考えでいく。
CPU
昨今のトレンドから考えて、シングルコアはあり得ない。(まあそもそもAtomや古い中古品でも選ばない限り存在しないが。)最低限デュアルコア。ただし予算的にクワッドコアを選ぶ余裕はない。
ビデオカード
買わない。オンボードで済ませる。用途がWeb巡回程度ならオンボードビデオで十分だし、当然予算も抑えられる。必要になった時点で用意すればいい。
マザーボード
(当時はまだLGA 1156がなかったので)選択肢はLGA 1366かLGA 775だが、ハイエンドのLGA 1366は当然選択肢には入らない。予算の関係でオンボードビデオと決めた以上はチップセットはG41かG45となり、フォームファクタもMicro-ATXということになる。とはいえ今のM/BはmATXでもオールインワンでほぼすべての機能がそろっていて、マルチGPUシステム(SLIやCrossFire)がやりにくい以外は特に問題はない。(動画を扱いたいときにキャプチャカード、あとは趣味でサウンドカードを挿すぐらいだろう。)
ただし接続するのが液晶モニタな関係上、DVIコネクタは必須。格安モデルだとD-Subしかないモデルも多いので、ここだけは気をつける。(ただしLGA 1156 + Core iシステムがメインとなった現在では、ほとんどのモデルがDVIか最低でもHDMIを用意するようになったので、ほとんど気にする必要がなくなったようだ。)
メモリ
上記の通りLGA 775でチップセットがG4xなので、ほぼ自動的にDDR2になる。(一部DDR3が使えるM/Bもあったかもしれないが、価格差もあって選ぶメリットに乏しかった。)メモリは多いに越したことはない(し、ビデオメモリもとられる)ので2GB×2でデュアルチャンネルの4GBの構成に決定。もちろんOSは32bitのWindows XPを流用するので3GBの壁が発生して4GBフルには使えないが、それは考慮済み。
ちなみに近年はバルクメモリとリテールメモリの価格差がほとんどないに等しいので、自分の場合は気休めの保険代わりにリテールを選ぶようにしている。もちろん「安くて高品質!」みたいな期待をしているわけじゃなく、何かあったときにリテール版の方が対応しやすいのがその理由。(格安バルクメモリだと初期保証すら怪しい、みたいなのもあるため。)
電源
意外に選択は難しい。「電源はいいものを」とは良く聞く言説だが、壊れたり出力不足になったりしない限りは実感を得るのはかなり難しいパーツ。普段使いで一番気になるのは「静音性」である確率が一番高いように思える。(ちなみに現在でこそ80PLUS認証電源かどうかが選択基準のトレンドになっているが、当時はまだそこまで話題にはなっていなかったと記憶している。)
仕方ないので決めうちはせず、500W強ぐらいの電源を残りの予算とネットの評判を見つつ見繕うことにした。PC界隈では省電力ががトレンドになって久しく、さらにSLIなどのマルチGPUシステムを一切行う気がないマシンでは、(その後のビデオカード増設を考えても)これぐらいの電源容量を見ておけば十二分だろう、と考えていたので。
構成結果
結局以下のようなパーツ選びとなった。ちなみにラインナップは当時(2009年7月上旬時点)のもので、現在は多くが終息品になっている。細かい値段を書いても今では何の意味もないので、当時の大体の値段を記載。
- CPU - Pentium Dual-Core E6300 / 約8000円
- M/B - G45M-FIDR / 約9000円
- メモリ - Transcend DDR800 2GB×2 / 約4000円
- 電源 - ZU-520W / 約4000円
というわけで無事3万円以下に収まり、目標達成。初期不良もなく、同じパーツ構成で約半年安定動作したので問題はなかったと言えるはず。以下は個々のパーツの簡単なレビュー。
Pentium Dual-Core E6300
これはCore 2 Duoの廉価モデルながら
- FSB 1066Mhz(当時他の廉価モデルはすべてFSB 800Mhzだった。)
- 仮想化技術のIntel VT対応(これも他のモデルは対応していなかった。)
- 2.8Ghzという十分に高いクロック数
と当時としてはトピックが多い製品だった。L2キャッシュが2MBと少ない以外は、上位モデルと大して差がない「1万以下で買えるCPUとしては十分な性能」があるコストパフォーマンスの高さが売り。実際にメインマシンのCore 2 Duoと比べても体感の差は全くなく、簡単なベンチマークを取った限りは「こちらをメインにしても全然問題ないのでは?」と思えたほど。45nmプロセスの恩恵もあるのかクーラーの作りはかなり簡単なものの発熱も少なく、価格の安さも相まって満足度は想像以上に高かった。
おまけでCrystalMark 2004のCPU部分のベンチマーク結果を載せておくと以下のような感じ。
- ALU - 27780
- FPU - 30104
ちなみにPentiumのE6300はすでに終息しているが、後継のE6500とE6600
はまだ現行製品なので、「LGA 775プラットフォームで旧CPUから安価にアップグレードしたい」という場合は(クロックが違うものの)個人的におすすめできる製品と言える。
G45M-FIDR
これは積極的に選んだ製品とは言い難い。というのも、当時DVIが付いたG45(G41)チップセットの比較的安価なM/Bとなると、選択肢が広いとはお世辞にも言えなかった。HDMI + D-Subタイプなら他にも存在したが、HDMI-DVI変換ケーブルを使った液晶モニタへの接続報告がネット上であまり見つからず、また別途変換ケーブルを用意するのが面倒になってしまった。というわけで消去法的にこれを選ぶことに。しかし結果的には「満足」という形になった。
物自体は廉価モデルだけあって付属品は少なく、必要最小限といった感じ。(バックパネル、ドライバCD、PATA・SATA・電源変換ケーブル程度。)パッケージの印刷もかなり地味で、「高級モデルではないぞ」ということが一目でわかるようになっている。とはいえM/B本体の作りは手堅いようで、前述の通りDVIコネクタ(とD-Sub)は装備されているし、メモリスロット×4(最大16GB)、SATA×6、PATA×1、USB2.0×4 + 6ポート、(最近使うかは別として)IEEE1394を装備、さらにPS/2、パラレルポート、FDDとレガシーデバイス接続ポートも完備しておりIOポートは必要十分。しかも今回の故障の原因となったコンデンサも、すべて個体タイプで液漏れの心配もなさそうなのも嬉しい。もちろんPCI-Eのx16スロットが存在するため、ビデオカードの増設がいつでも可能。
初回の起動時にBIOSが古くてCPUの型番を正常に認識しなかった以外は、トラブルらしいトラブルもなく安定して使用できている。これを選んだ目的だった液晶モニタとのDVIでのデジタル接続も特に問題はなく、今までのDVIケーブルを使い回してオンボードビデオの映像をドットバイドットで表示できる。オーバークロックが趣味の人間から見ると電圧の設定項目に一部難があるらしいが、この環境ではそんな使い方をするつもりはないので個人的には全く関係ない話だった。
パーツを入れ替えつつ現在もこのM/Bを使っているが、豊富なIOポートやメモリスロット、オンボードビデオを十分生かせるDVIコネクタ、ボード自体の手堅い作りとG45チップセットのMicro-ATX M/Bとしては十分他の人にもお勧めできる製品だと感じた。ただし現在はすでに出荷が終息しているモデルらしく手に入りにくいのと、M/Bごと買うならLGA 1156 + Core iを選ぶであろう点から検討対象に入ることは恐らくないだろう。旧モデルの処分品扱いで並んでいるのを見たら、あるいは検討してみてもいいかもしれない。
余談だがM/BにDVIとD-Subの両方が付いているのでデュアルモニタ環境を構築することは可能なものの、仕様としては「クローンモード(同一画面を表示する)」しかできないようだ。オンボードビデオでの拡張デスクトップ(複数のモニタを1枚のデスクトップとして使う)が目的なら避けた方がいいだろう。(ただしWindows 7 RC版で自動的に入るドライバだと、なぜか「拡張デスクトップ」の選択と使用ができた。製品版は不明。)
メモリ
普通のDDR2 DDR800(PC6400) 2GB×2のもの。初期不良もエラーもなく普通に使えているので、特に書くことはなし。
ZU-520W
アビー製の520W電源。たまたま特価でのセールを見かけたので購入しただけで、これと言った理由があって選んだわけではない。80PLUS認証は付いていないが、公式サイトによると電源変換効率が78%以上と書いてあるので(宣伝文句を信じるなら)同じぐらいの性能はあるのかもしれない。
プラグインタイプではなく、可変タイプの大型のファンが1個搭載されたまさに「普通」としか言いようがない電源だが、唯一の特徴として青い「ターボファンスイッチ」が用意されてる。これはユーザが任意のタイミングで押すことによってファンの回転数を上げることができ、電源とケース内の冷却状態を向上させることができるという触れ込み。実際にボタンを押すと確かに回転数が一気に上がり、後部から出る風量が増加する。とはいえ風量が増加すれば騒音も増加するわけで、自分の環境では単にケースの後ろでボタンが押しにくいという現状も相まって、基本的にOFFのままで使う機会はない。
あくまで個人の感覚になるが、「静音性」が売り文句なのは嘘ではないらしく確かに音は非常に静か。電源投入時からすでに静かで、マシンパワーをフルに使っても回転数が上がっているのかわからないぐらいだ。(とはいえデュアルコアCPU + オンボードビデオ程度では大して電気を食うとも思えず、電源容量ギリギリまで負荷をかけた場合どうなるのかはわからない。)ただし前述の「ターボファンスイッチ」を押した場合は負荷に関係なくファンの回転数が上がるので、ONにすると(騒音とまで言えないが)多少音が耳に付くようになる。ケース内のクーリング状態にもよるが、静音性を重視するなら「ターボファンスイッチ」は常時OFFで使いたいところ。
ちなみにこの電源もすでに終息モデル。後継機種はZU-650B-KAかZU-500N辺りになると思うので、興味がある人はチェックしてみてはどうだろうか。(ただ存在意味がないと判断したのか、現行モデルでは「ターボファンスイッチ」が付いているものはなくなっているようだ。)
「自作は安いのか?」再び
「自作は別に安くない」と言われて久しいが、実際にそうだとは思う。とにかく「安い」マシンが欲しいならセールになっているメーカ製の型落ちモデル辺りか、DELLを筆頭とした大規模BTOメーカの安いモデルを買った方がいいだろう。とにかく「格安・最安」パーツを選んでいけば安くはなるが、その手のパーツは性能が想像以上に低かったり、工作精度が低かったり、潜在的なトラブルで有名だったりと何かしらの弱点を抱えている場合が多い。「(そのような)トラブルの解決を楽しむのも自作の一環だ」という意見も確かにあって理解はできるが、それは「とにかく安いのが欲しい」という人のニーズには一致していない。もちろん「システム全体の保証がない」というのも(特に初心者には)大きい。
それでも「自作が安い場合はあるのか?」と考えれば、恐らく以下のパターンが当てはまる。
- 一部のパーツを使い回せる場合
- 使用目的がはっきりしていて、不要なものを購入しなくて済む場合
- 後の拡張性が欲しい場合
1.は初回の自作時は無理だが、次回以降にできる今回のような例。特にケースなどは長期間使えるはず。
2.は「何がしたくて何が必要か」を自分が十分理解できている場合。たとえばWeb巡回程度が目的ならビデオカードはいらないし、CPUにお金をかける必要もない。ファイル・ビデオサーバなら他はともかく大容量HDDが必須だろうし、3Dゲームをプレイしたいなら「コア数が多いCPUはいらないが、クロックは高い方が良い。そして大容量HDDは不要だから、その分ビデオカードの予算に回す」というようなパーツ選びになるはず。必要なところにのみ予算を集中できるから、結果的に安く済むということ。
3.は一般的なM/Bやケースが汎用品であるというところから来ている。規格さえ合っていればパーツのアップグレード、交換、流用、故障品の取り替えに問題が起こることはまずないし、元々パーツ単位の保証しかないから「○○を追加したらメーカ保証がなくなった」みたいな事態も起こりえない。メーカPCはコスト削減や何らかの目的のため独自規格を採用していて汎用品が流用できなかったり、ケースや各種スロット、電源に余裕がなくパーツが追加できないということもある。(例:空きメモリスロットがない・ケースがスリムタワーでロープロファイルカードしか使えない・CPUクーラーが特殊 等)「徐々にアップグレードしていく」という使い方は、やはり自作の方が向いているだろう。
「予算が少ない自作でも後悔しなくて済むのか?(あるいは満足できるのか?)」は「パーツ選びそのものを楽しめるのか」に尽きるのではないかと思う。個人的にはこの「予算が○○で目的が××。だからこのパーツを~」と見繕っている間が一番面白いように感じる。もちろん選んだパーツを組み立てて目的が達成できるところも重要で、自分のニーズにマッチしたマシンができれば予算の量に関係なく「満足」できるはずだ。
「自作は(まだ)安いのか?」という点では「目的に応じて相対的に安く済ませることはまだ十分可能」ということになるだろう。絶対的な安さを求めるならそれこそ「DELLでも買っとけ」みたいな話になってしまうが、上記の例に当てはまるなら自作も悪くない選択肢だと思える。特に「後から頻繁にパーツを変えたい・追加したい」という場合なら汎用性と拡張性の高さがものを言うことが多いので、むしろ安くなくても自作を選ぶという方が幸せになれるかもしれない。(まあPCショップなどのBTOでもいいだろうけど。)
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