Outlook ExpressからThunderbirdへのメーラー移行方法

Thunderbird 3がリリースされたのを記念して、未だに根強く需要があるらしい「Outlook ExpressからThunderbirdへの乗り換え方法」を画像付きで紹介します。このネタはかなり前に似たような話を書いたことがあるのですが、記事としてあまりまとまってるとは言い難いので、もうちょっとわかりやすい形で書き直したものです。

ダウンロード&インストール

2009年12月上旬時点でThunderbirdのバージョンは最新の3系統とひとつ前の2系統が存在するので、好きな方を選択してください。ただバージョン2は2010年6月にセキュリティ更新が終わるので、特に何かなければ最新版の3を選べばいいと思います。(ここから先もThunderbird 3を選んだとして解説。)

ダウンロードが終了したらファイルを選択して普通にインストール。ここまでは難しいことは何もないので、特に迷うところはないでしょう。ちなみにインストール時に選択できる「標準インストール」と「カスタムインストール」ですが、別に大した違いはありません。カスタムインストールは「上級ユーザ向け」とされていますが、その内容は「インストール先フォルダ」と「起動ショートカットとアイコンをどこに作るか」を選べるだけです。

起動とデータのインポート

Outlook Expressがインストールされてすでに使用されている場合、起動した直後に「設定移行ウィザード」が起動します。他のメーラーが入っている場合は別ですが、Outlook Expressのみなら下の画面のように最初から選択された状態になっているはずです。(正確には使っていなくてもOutlook Expressには「ようこそ」メールが1件初期状態で存在するため、ウィザードは必ず起動するはず。)

設定移行ウィザード 初期画面

そのまま「次へ」を選ぶと即座にインポート作業が開始。メール本文やアカウント設定は当然として、メールの分類に使っていたフォルダなども丸ごと移行されます。作業時間はメールやアカウントの量に依存しますが、ローカルで作業しているだけなので、よほどの大容量でもなければ大した時間はかからないでしょう。

設定移行ウィザード インポート画面

移行作業が終わると自動的に通常の起動画面に変わります。この時点ですでにアカウント設定やメール・フォルダは移行済みになっていて、ほとんど全自動で作業が終了しています。

設定インポート後のThunderbird画面

上の画像は(ほぼ)初期状態のOutlook Expressからデータをインポートしたもので、「ローカルフォルダ」内に(OEの)「送信トレイ」や「下書き」フォルダがあるのがわかります。Thunderbird 2までは設定移行ウィザードが不完全だったのか、メールの既読フラグやGmailのアカウントが正常にインポートできない場合があったのですが、Thunderbird 3では対応されたのかそのような現象は起こりませんでした。

ただ以下の2点には注意してください。

  • メールアカウントのパスワードだけはインポートされないので、個別に設定する必要がある。
    • メールの受信をおこなうとその時点でパスワードを入力するダイアログが表示されるので、パスワードを入力して保存すればOK。
  • (メーラーの)既読フラグはインポートされるが受信フラグはインポートされないので、「メールをサーバに残す」設定をしていると受信した際に古いメールが一気にダウンロードされる。
    • ただしGmailの場合は、Gmail側の設定で「すべてのメールで POP を有効にする (ダウンロード済みのメールを含む)」をONにしない限り古いメールは受信されない。

これでインポート作業は終わりなので、後は自分の利用環境に合わせて設定を変更してください。

旧バージョンのThunderbird 2をインストールした場合

Thunderbird 2をインストールしてOutlook Expressのデータのインポート作業をすると、(確認している限りは)Gmailのアカウントが正常にインポートできない場合があります。他のメールアカウントではメールを受信したときパスワードを聞いてくるのでそのまま入力すればいいのですが、Gmailだと「メールを受信してもエラーはなにも表示されず、メールパスワードも聞いてこない」「アカウントのサーバ設定自体が正しくない」という現象が何度か確認されました。

以上のような状態になったら無理して設定を編集するよりも、Gmailのメール設定を消して新しく入れ直した方が楽です。Gmailの場合はアカウント設定が非常に簡単で、「ツール」→「アカウント設定」→「アカウントを追加」→「Gmail」と選んでいき、(メーラーでの)表示名とGimailアカウント名を入れるだけで設定が終わります。(パスワードはメールの受信時にダイアログで聞かれる。)

すでにThunderbirdがインストールされている場合

Thunderbirdがすでにインストールされて利用されている(あるいは「設定をインポートしない」で起動した)場合、初回に表示される「設定移行ウィザード」は使えませんが、「ツール」→「設定とデータのインポート」から同じ作業がおこなえます。

設定とデータのインポート 初期画面

「すべてインポート」を選ぶとインストール直後のインポート作業と同じように、「設定移行ウィザード」が起動します。(「移行ではなく併用したい」という場合などは、任意の選択肢を選んで目的のデータのみをインポートする。)

インストール後の設定移行ウィザード

後は「次へ」を選べば同じようにインポート作業が全自動で終了します。注意点は前述のインポート作業と変わりありません。

Outlook Express(OE)をすでに使用していない場合

Outlook Expressをすでに使用しておらず、Outlook Expressからエクスポートしたメールボックスやアカウントデータがあるだけだと、基本的にThunderbirdのインポート機能をそのまま使うことはできません。このような場合は、今後Outlook Expressを使うつもりはなくても(Outlook Expressを)一回起動してエクスポートしたデータをインポートし、Thunderbirdから改めてインポート作業をおこなう必要があります。

ただし、アドレス帳だけならOutlook ExpressからCSV形式でエクスポート→Thunderbirdの「設定とデータのインポート」で読み込むという手順を使うことができます。

テキストファイルからアドレス帳をThunderbirdへインポート

Thunderbirdのインポート機能は、基本的に「今インストールされているメーラーからデータをインポートするもの」として作られているのでしょう。

Thunderbird 3は2に比べてインポート作業もより楽になっている

Thunderbird 2まではまだ移行作業に多少のクセがありましたが、Thunderbird 3になってより簡単でトラブルがなくなったと感じました。「ブラウザはFirefoxを使っているが、メーラーは未だにOutlook Express」という方は、これを機に乗り換えを検討してもいいのではないでしょうか。いずれにせよOutlook ExpressはWindows XPまでしか提供されていないので、今のうちにWindows 7にも対応しているメーラーに乗り換えておくのはひとつの手だと思います。(Outlook Expressの後継としては、MicrosoftからWindows Live Mailが提供されている。)