このBlogのテーマと関係ないのですが、あまりにも酷いニュースを見つけたので頭から信じ込まないようにエントリにしておきます。
水から電流を取り出すことを可能にした新しい発電システム「ウォーターエネルギーシステム」を見に行ってきました - GIGAZINE
読むのが面倒な方に簡単に説明すると以下のようなことが書いてあります。
結論から先に言いましょう。あり得ません。
この技術を開発したのはジェネパックスといって、この水で発電する仕組みは「ウォーターエネルギーシステム」というらしいです。公式サイトの中にこの「夢の新エネルギー」の仕組みが書いてありました。
中身をもの凄く簡略化して書くと以下のような感じです。
([*1]Flashの動画によると「化学反応」らしいが具体的には何も書かれていない。)
要するにこのシステムは不思議パワーで水から水素を作り、それを動力源にして(燃料電池で)車や家電製品を動かしているらしいですね。不思議パワーの部分を除けば何の問題もありません。ただの燃料電池ですので、普通に実用化されています。
問題は当然この不思議パワーの部分です。水が勝手に水素に変化することはあり得ません。この部分にはエネルギーが必要です。一番わかりやすいのは電気分解でしょう。
しかし電気分解するなら、そのための電気、つまりエネルギーがないと話になりません。何もないところからエネルギーは生まれないのです。電気分解のためにバッテリーを積んでも、そのバッテリーが切れれば化学変化は止まります。そもそもこれでは「水」がエネルギーになっていません。(遠回りしてバッテリーの電気で動いているだけ。)
同じような化学変化でアルミの酸化反応で水から水素を作ることもできますが、これはアルミがすべて酸化アルミになった時点で水素の発生は止まります。これはアルミが「燃料」になっているだけで、結局水からエネルギーが発生しているわけではないのです。もし車に搭載するとしたら、ガソリンスタンドの代わりに「アルミスタンド」が必要になりますね。
要するにこのシステムの説明は、具体的に「どこからエネルギーを得るのか」という点がまったく書かれていないのです。水が(説明曰く「化学変化」で)勝手に水素と酸素に分解して、それがエネルギー源になるようですが、そんなわけがありません。どこからかエネルギーを持ってこないと水から水素は作れないのです。そして水が水素にならない限り、このシステムが動き出すことはあり得ません。
あまりにも酷かったのでこのBlogでもついこの話を取り上げましたが、もっと有名なアルファブロガーの方もこのネタを取り上げています。
左側であっさりH2Oが2H+ + O2-に別れているけど、実はこの部分、逆燃料電池 = 電気分解になっている。早い話、エネルギーを加えないとこうはならない。
そもそも燃料電池というのは、その名の通り燃料(Fuel)=水素(Hydrogen)を「燃やして」エネルギーを得ている。その結果出来るのが、水(H2O)。別の言い方をすれば、水というのは「灰」なのだ。
もしこれが可能なら、燃え切ったはずの灰を燃やして火力発電することだって可能ということになる。
どう見ても、WESは永久機関(perpetual motion)ですありがとうございました。
404 Blog Not Found:ニセ化学 - WES?WTF!
この手の「水をエネルギーにする」とか「名前が違うだけの永久機関」というのは大昔からあるのですが、昨今のエコ意識の高まりや地球温暖化などの関係でより注目されやすくなっているのでしょう。
ただどんなに大規模な発表しても「動かないものは動かない」ので、超エネルギーの発表を見たらまず疑ってかかることをオススメします。本当に凄いテクノロジーというのは、例えば携帯電話のようにいつの間にか自分たちの生活にとけ込んでいますからね。
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