無断リンク禁止というジャイアニズム

無断リンク論は麻疹のようなものかもしれない - プログラマーの脳みそを読んで。

僕たちは自由意思でblogを書くわけだ。そしてわざわざ批評される場に出している。なんか言われるのがいやだったら発表しないよね。公表されないことを前提とした詩集とかあっても全然問題じゃない。でも、発表しておいて感想がネガティブだと怒るってのはどれだけ幼稚なのよ?

~中略~

「俺はお前をネタにするけど、お前は俺をネタにするな」はダメってさっき確認したよね。それは我儘にすぎない、お前はジャイアンか!

~中略~

つまり、「俺のblogを話題にするな!」ってのが本当のところなんじゃないか?

無断リンク論は麻疹のようなものかもしれない - プログラマーの脳みそ

内容にはほぼ同意です。私が無断リンク禁止と主張するのが理解できないのは(引用文にも書かれていますが)以下の理由です。

公開することのリスク

  • 無断リンク禁止と書いても実質的になんの強制力もない。リンクされるのは自分の管理外の場所であり、防ぐことはできない。
  • 「リンクされたくない」「見られたくない」「話題にされたくない」ならなぜWebに公開して世界中から自由にアクセスできるようにしておくのかわからない。嫌なら以下の方法がある。
    • ローカルに保存しておく。(PCのテキストエディタや本物のチラシの裏。)
    • SNS(mixi)を使って知り合いにのみ公開する。
    • Blogを使う場合はパスワードを掛ける。

見られて困るならなぜ最初からWebに公開するのでしょう?また、それはリンクされなければ済む問題なのでしょうか?根源的な問題は「公開」していることだと思うのですが、その部分を変えずに周りに「禁止だ」といえば問題は解決するのでしょうか。私にはちょっと理解できません。

ジャイアンは自分が間違っていると気づいているか?

ジャイアンは確信犯である

モデレートとかのシステムは論理的に対称性を持つには自由とするしかない、というのを踏まえた上で、自由だが無秩序というわけにもいくまいという現実に立ち向かう方法論なのだよね。

ここで誤解してほしくないのは、モデレートってのは秩序を維持するもので、我儘を増長させるためのシステムではないということ。「俺、ジャイアンでいたいんだよ」「モデレートってやつでジャイアンであり続けられるんじゃね?」とか考えないように。

無断リンク論は麻疹のようなものかもしれない - プログラマーの脳みそ

私が思うに、多分無断リンク禁止を掲げる方は「俺、ジャイアンでいたいんだよ」とは思っていません。ジャイアン的な思考は明らかにアンフェアで一方的ですが、そういう考え方をする本人が「アンフェアだ」と思っているかは別問題です。本人はむしろ「正しい権利だ」と思っているはずです。本来の意味での「確信犯」ですね。

「無断リンクはマナー違反です!!」という主張

なぜ私がそう考えるかといえば、大概の場合無断リンク禁止を掲げる人は「マナーの話」を持ち出すからです。一番多い例としては「他人の嫌がることをするな」というものでしょう。つまり、「自分が無断リンクをされるのが嫌だからするな」ということです。

自分がジャイアンである、つまり「アンフェアだ」と考えているならば、「マナーの話」を持ち出すわけがありません。身勝手な自己中心的主張であるジャイアニズムは、マナーとは180度反対の関係にあるからです。(まあ間違っているとわかっていても、理由をひねり出すために言っている場合もあるかもしれませんが。)

人間の精神というのは、間違っていると確信していることを声高らかに叫べるほど強くできてはいません。大概は自分の信念や考えに基づいて「正しい」と思う行動をしているのです。つまり、「無断リンク禁止」を掲げる人はリンクを張るときに許可を得るべきだと考えているでしょうし、無断リンク禁止と主張することも正当な権利だと考えているはずです。少なくとも自分の中では「フェア」なんです。

ただ自分が無断リンクを張らないようなローカルルールを守っていたとしても、それに他の人が付き合ってくれるかは別問題です。ローカルルールはあくまでローカルルールで、外から見ればそれは非常に滑稽なものかもしれません。でも自分の周り(もしくは自分)ではそれはルールでありマナーなので、それを守ってもらえないことに強い不快感を覚えるのでしょう。

無断リンク禁止議論はなぜループするのか

感情 vs 理論

無断リンク禁止の根拠をマナーに求める人の場合、理詰めの反論はほとんど意味がありません。「他人の嫌がることをするな」というのは、理屈がどうであれ「嫌なものは嫌だから駄目」という結論にしかならないからです。感情を理屈でひっくり返すのは容易なことではありません。

大概は議論や説得が逆効果に終わり、反感を強めるだけなのを何度も見てきました。元から譲歩する気がない議論はただの言い合いで口喧嘩です。無断リンク関係で揉め事になり、「無断リンクされたからこそ揉め事になった」と考えてしまうことは想像に難くありません。(本当は無断リンク禁止と主張しなければ、無断リンクで揉めることはないのですが……。卵が先か鶏が先かという話でもあるかもしれません。)

終わらない議論、続く揉め事

無断リンク禁止議論は多分今後も延々と続くと思います。両方の立場で主張を続ける人はいなくならないでしょうし、新しい人もどんどん入ってくるからです。

そりゃ、論じている人が入れ替わり立ち替わりなんだから、延々と論じられ続ける話題とも言えるか。

~中略~

そう、これは麻疹のようなものなんだ

無断リンク論は麻疹のようなものかもしれない - プログラマーの脳みそ

はしかには予防接種がありますが、残念ながら無断リンク議論には予防接種がありません。定期的に流行しているのですが、止める方法はないのでしょうね。