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テレビの没落は番組の質の問題ではない

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2008 05/03 18:22 (Sat)
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コラム
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「TVを見なくなった」「視聴率は下がる一方」「メディアとしての価値・立場は年々低下している」という話はよく聞きます。

もう今更って感じですが…、最近テレビ見てますか?

はっきり言って最近の民放のテレビは面白くない!

「どっかで答え見たよ」っていうクイズ番組、どの局も出ている芸人は同じ、ひたすら贅沢さを見せびらかすグルメ・旅番組、音楽番組もどこもいっしょ…などなど。

そんなことばっかやってるから、視聴者が減るんだよ!!

視聴率低下でスポンサーがつかない! テレビ番組の質の低さはもう末期 (goo ニュース畑)

要するに「番組の質が下がったから」という原因を挙げる人がたくさんいるんですが、これ本当なんでしょうか?

本当に昔のテレビは素晴らしかったのか?

TV番組の質はいつ下がったのか?

テレビ番組の作りが荒くなったのは、正直、フジテレビに限ったことではないですけどね。

皮肉にもこんなくだらない今のテレビ番組は小・中学生の情報媒体になるなんて! いい影響与えないだろ…

テレビ番組の質は個人的にはもう末期かと思っています。

視聴率低下でスポンサーがつかない! テレビ番組の質の低さはもう末期 (goo ニュース畑)

「酷くなった」「質が下がった」という前提が成り立つならば、逆に昔のTVは「質がよくて素晴らしかった」ということになるでしょう。そうでなければTV離れの説明になりません。しかし、今から50年も前に流行したこんな言葉があります。

一億総白痴化(いちおくそうはくちか)とは、社会評論家の大宅壮一が生み出した流行語である。「テレビというメディアは非常に低俗な物であり、テレビばかり見ていると、人間の想像力や思考力を低下させてしまう」という意味合いが強い。

「テレビに至っては、紙芝居同様、否、紙芝居以下の白痴番組が毎日ずらりと列んでいる。ラジオ、テレビという最も進歩したマスコミ機関によって、『一億総白痴化』運動が展開されていると言って好い。」

一億総白痴化 (Wikipedia)

TV番組に「これはひどい」という評価があるのは、別に今に始まったことではないでしょう。昔からTVは批判され続けているのです。最近はあまりないのかもしれませんが、一昔前は「PTAから苦情が来た」なんて話をしょっちゅう聞いた気がします。

そもそも娯楽番組はくだらない

今回のネタ元の方がバラエティ(娯楽)番組に何を求めているのかはよくわかりませんが、そもそもバラエティ番組に求められているのは「笑える」とか「楽しめる」でしょう。別に高尚な話を聞きたくてチェンネルを合わせるわけではないのです。「くだらない」のは当たり前ではないですか?それが目的なんですから。自らエロサイトを開いておいて、「エロい!けしからん」と言ってるような不思議さを感じます。

根本的な問題として、「くだらない番組を見たくない人」は「バラエティ番組」にニーズが一致していないのです。これは昔からそうだ、と考えて間違いないでしょう。イライラするぐらいならニュースにチャンネルを合わせるか、消してしまった方が精神的ではないでしょうか。

TV局が一方的にくだらない(番組の)電波を送りつけているのが嫌だという意見もあるかもしれませんが、それは別に今に始まったことではありません。もしそうだとしたら、批判するべきはTV自体の仕組みでしょう。質云々の話ではありません。

テレビの価値はなぜ低下したか

テレビのみが選択肢である時代は終わった

いわゆる「TV離れ」が進んだ一番の原因は、視聴者の選択肢が増えたということでしょう。かつてTVは「家に帰ったら真っ先に正座して見る」という状態だったのかもしれませんが、現在はそうではありません。ネットはすでにPCや携帯電話でほとんど誰でも使えるインフラになり、その中でやりとりされている(コミュニケーションを含め)コンテンツは膨大です。

1日は逆立ちしても24時間しかないのですから、余暇時間も自動的に制限されます。選択肢が1個しか無ければ自動的にそれを選ばざるを得ませんが、選択肢が増えれば優先順位も上下し、一つに割り当てる時間も減ります。

ライバルが増えれば昔と同じようにいかないのは当然なのです。TVはすでに優先的に選ばれる唯一のメディアではないのですから。

すでに動画を見られるのはテレビのみではない

インターネットが普及しつつあっても、TVにはインターネットに圧倒的に優位に立てる点がありました。TVそのものの機能ともいえますが、「動画の配信能力」です。かつてのネット環境は回線が遅い上に定額ではなかったため、動画を扱うのは非現実的でした。コストと時間がかかりすぎたのです。

ところが、現在ではGyaOYouTubeニコニコ動画などのサービスによって、ネットで動画を見ることは珍しくも何ともなくなりました。TVの根本的な機能のひとつである「動画の配信能力」でさえ、ネット対して圧倒的優位には立てないのです。

もちろん、デジタル放送による「高画質・高音質」の動画の配信、全国に一斉に発信できるマスメディアのとしての力は未だに失われていませんが、前者はいずれ技術的に解決されるでしょう。(ただし「政治的」に解決されるかは別で、ネットでの動画はずっとSD画質かもしれません。ただ、HD画質が必要とされない可能性もまた別にある。)後者はシステム的にどうにかなる話ではないので、今後もTVの特徴であり続けると思います。

テレビの斜陽は、いつか来た道

フローなテレビ・ストックなネット

TV番組というのは良くも悪くも消耗品です。再放送という仕組み自体はありますが、視聴者が任意に選べるわけではありません。自分で録画していない限り、「もう一度みたい」というコンテンツを視聴できる仕組みは無いのです。(DVDなどで発売される場合もありますが、今回はTVというメディア自体の話なので直接的に関係はない。)

ではネットはどうでしょうか?サービス終了や管理者が消してしまう場合も多々ありますが、昔から残っているコンテンツも多数あります。検索さえできれば、これらの情報へのアクセスは極めて手軽です。例えばインプレスのPC Watchの場合、10年前のコンテンツですら普通に残っているので今でも即座にアクセスできます。

一ヶ谷兼乃の「PCパーツ天国」 第4回 新CPU登場!?  その名も「黄金戦士」 - PC Watch

10年前のTV番組をチェックしようと思ったら、これは容易なことではありません。自分で残していても多分VHSテープでしょうし、見つからないとか元々録画していないのなら、知り合いをあたるぐらいしかないでしょう。私が上でリンクを張った手間とは比べものになりません。

結局のところ、TV番組は使い捨てにしかならないのです。価値を生み出したとしても、それはフローなので流れてしまって終わりです。時間が経つにつれて、どんどん情報が蓄積されていくネットとは対照的でしょう。

TV番組は作る時点で「放送した時点での視聴率の取得」が目的になるため、結果として粗製濫造になってしまうことは否定できないのではないでしょうか。私は「質が低下した」という意見にはあまり賛同できませんので、むしろ元々「質が上がるようなシステムになってない」と考えているのです。何度も見返すことが前提ならコストや時間のかけ方も変わってくるでしょうが、そのような仕組みは未だ日本のTVにはありません。

永遠に一線であり続けるという幻想

かつてTVが普及する前、庶民にとって一番のメディアといえばラジオだったのでしょう。しかしTVは「動画」という圧倒的な表現力を持って、ラジオに取って代わりました。価格の低下は必要ですが、古い製品・システムは新しいものが現れた時点で第一線から退きます。(もちろん古いものより優れていて、同時に需要がなければ消えていくだけですが。)メディアに限らず、これはありとあらゆるものがそうなのです。

コンテンツさえ何とかなれば、TVだけはこの仕組みから除外されるのでしょうか?永遠にトップの座に居続けられるのでしょうか?

私はそうは思えません。どんなメディアやシステムにしても、いずれは何かに取って代わられるでしょう。TVの立場が揺らいでいるのでしょうが、それはかつてラジオが通ってきた道と同じではないでしょうか。ラジオがいくらコンテンツを工夫しても、TVの代わりにはなりえません。時間も社会も逆戻りはしないのです。

ただTVが無くなるのか?といえばそれは違うでしょう。TVが普及してラジオが無くなったわけではありません。あくまで立場が変わり、役割に変化が生じただけです。

TVにもラジオ同じような変化が起こるとして、それが目の前に迫っているのか、10年後なのか、それとももっと先なのか、私にはわかりません。ただ、変化自体は着実に起こっていると私は感じているのです。

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